卒FITとは? 卒FIT後の3つの選択肢について詳しく解説!

投稿日:2022/11/16

更新日:2024/03/29

でんきの豆知識

FIT制度の期間満了後は買取価格が大きく下がってしまうため、不安を抱えている方も少なくないでしょう。卒FIT後の選択肢は売電継続を含めて大きく3つありますが、それぞれの選択肢にメリット・デメリットがあるため、しっかりと比較検討をして自分に合った方法を選ぶことが大切です。

本記事では、卒FIT後の買取価格や3つの選択肢について詳しく解説します。すでに卒FITを迎えている方や、まもなくFIT制度の期間満了の方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事の内容は2024年3月25日時点の情報です

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この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

卒FITとは?

卒FITとは?

卒FITとはFIT制度の適用期間が満了することです。

詳しくは後述しますが、FIT制度とは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことで、対象の再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を電力会社に一定期間、固定価格で買い取ってもらうことができます。再エネの種類や条件によって買取単価や適用期間が異なり、一般住宅で主に導入される10kW未満の太陽光発電の適用期間は10年です。つまり、FIT制度の適用開始から10年がたつと期間満了となり、以降は固定価格では電気を買い取ってもらえなくなるのです。

そもそもFIT制度とは?

繰り返しになりますが、FIT制度とは再エネの普及を目指して、大手電力会社に対し、再エネで発電した電気を一定期間、固定価格で買い取ることを国が義務付けた制度です。

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーには、太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力が含まれており、一般住宅における太陽光発電も、FIT制度の買い取り対象となっています。

FIT制度における10kW未満の太陽光発電の買取価格は2024年度(令和6年度)で16円/kWh、2025年度(令和7年度)では15円/kWhです。直近5年間の買取価格の推移は以下のとおりです。

【10kW未満の太陽光発電の買取価格】

​​年度 買取価格(/kWh)
2025年度 15円
2024年度 16円
2023年度 16円
2022年度 17円
2021年度 19円

FIT制度が適用されている10年間は、適用開始年度の買取価格で電気を買い取ってもらえます。つまり、2024年度からFIT制度の適用を開始すると、2033年度まで16円/kWhで買い取ってもらえるということです。

表を見ると分かりますが、10kW未満の太陽光発電の買取価格は年々下がっており、今後も下がる可能性が高いです。そのため、太陽光発電設備の導入とFIT制度の適用をご検討中なら、早めに始めるのがおすすめです。

なお、FIT制度の適用を受けるには、太陽光発電の導入時に、電力会社や経済産業省への申請が必要です。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁 . 「買取価格・期間等(2012年度~2022年度)」 .https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html , (2024-02-15) .

※参考:経済産業省 . 「令和6年度以降(2024年度以降)の調達価格等について(令和6年度以降の調達価格等に関する意見(案)別紙)」 .https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/093_b01_00.pdf , (2024-02-15) .

卒FITを迎えると買取価格は下落する

卒FITを迎えると買取価格は下落する

卒FITを迎えたからといって、売電ができなくなるわけではありませんが、FIT制度の適用期間中と比べると大幅に買取価格が下がります。2024年2月時点の大手電力会社の卒FIT買取単価と、2013年度のFIT制度の買取価格を比べてみましょう。

【大手電力会社の卒FIT後の買取価格】

大手電力会社 買取価格(/kWh) 2013年度のFIT制度の買取価格
東京電力 8.5円 38円/kWh
北海道電力 8円
東北電力 9円
中部電力 7円
北陸電力 8円
関西電力 8円
中国電力 7.15円
四国電力 7円
九州電力 7円
沖縄電力 7.7円

FIT制度の適用期間中に電気を高く買ってもらえるのは、買い取りに再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が使われているためです。再エネ賦課金とは、電力会社がFIT制度で再エネ由来の電力を買い取る際に要する費用を賄うもので、電気を使用する全ての家庭や企業が、電気の使用量に応じて負担します。

卒FIT後は電気の買い取りに再エネ賦課金が充てられなくなるため、買取価格が下がるのです。

※参考:株式会社エネクスライフサービス . 「太陽光電力買取サービス」 .https://afterfit-itcenex.com/ , (2024-03-25).

※参考:沖縄電力 . 「固定価格買取制度終了後の取り扱いについて」 .https://www.okiden.co.jp/business-support/purchase/setsuzoku/instruction/index.html , (2024-02-15).

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁 . 「買取価格・期間等(2012年度~2022年度)」 .https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html , (2024-02-15) .

卒FIT後の3つの選択肢

卒FIT後の3つの選択肢

卒FIT後の選択肢は、主に以下の3つです。

  • 売電を継続
  • 別の電力会社へ売電
  • 自家消費

ここからは、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

売電を継続

一つ目の選択肢は、売電の継続です。

卒FITを迎えても、FIT制度の適用期間中と同じ大手電力会社への売電を継続することが可能です。売電契約が自動継続となっている場合は、卒FIT後も新しい単価で買い取りが続けられます。

売電を継続するメリットは、新規契約などの手続きが必要なく、手間や時間がかからない点です。

デメリットはやはり、FIT制度の適用期間中と比べて、買取単価が大幅に下がる点です。売電を継続する場合、売電収入が大きく減少してしまうでしょう。

別の電力会社へ売電

二つ目の選択肢は、別の電力会社への売電です。

卒FIT後は自由に売電先の変更が可能です。先述したとおり、FIT制度の適用期間中と同じ電力会社へ売電を継続すると買取価格が大きく下がるため、卒FIT後も売電を続けるなら、より買取単価の高い新しい売電先を探すのがおすすめです。

例えば、売電先をエネクスライフサービスに切り替えると、エリアによっては、大手電力会社への売電を継続するよりも4円も高く買い取ってもらうことができます。

【卒FIT後の買取価格】

エリア電力会社による買取単価/kWh エネクスライフサービスの買取単価(/kWh)
関東エリア 8.5円(東京電力) 12.5円
北海道エリア 8円(北海道電力) 11円
東北エリア 9円(東北電力) 10円
中部エリア 7円(中部電力) 10.5円
北陸エリア 8円(北陸電力) 8.5円
関西エリア 8円(関西電力) 10円
中国エリア 7.15円(中国電力) 10円
四国エリア 7円(四国電力) 8.5円
​​九州エリア 7円(九州電力) 7.1円
​​沖縄エリア 7.7円(沖縄電力)

デメリットを挙げるとすれば、売電先の比較検討が必要となる点や、新たな契約締結に多少の手間がかかる点でしょう。

※参考:株式会社エネクスライフサービス . 「太陽光電力買取サービス」 .https://afterfit-itcenex.com/ , (2024-03-25) .

自家消費

自家消費をする際に導入すべき3つの設備

三つ目の選択肢は、自家消費です。

近年は電気料金が高騰し、家計を圧迫しているため、太陽光発電で作った電気を売電せず、全て自家消費をして、電気料金の節約効果を高めるのもおすすめです。

デメリットは売電収入がなくなる点ですが、現状から考えると、太陽光発電で作った電気の買取価格よりも、電気料金の単価の方が高くなる可能性が高いため、メリットの方が大きいでしょう。

例えば関東エリアでは、東京電力による電気の買取単価は8.5円/kWhですが、電気料金は従量電灯Bで第1段階料金が29.80円/kWh、第2段階料金が36.40円/kWh、第3段階料金が40.49円/kWhです。売電よりも自家消費の方がお得ということがよく分かるでしょう。

なお、太陽光発電で作った電気を効率よく自家消費するためには、以下のような設備が必要です。

  • 蓄電池
  • エコキュート
  • EV

蓄電池

蓄電池とは電気をためたり、供給したりできる二次電池です。蓄電池と太陽光発電を併用すれば、作った電気を蓄えておけます。

蓄電池のメリットは、日中に発電して使い切れなかった太陽光発電の余剰電力を蓄えておける点です。発電できない夜間や悪天候の日でも蓄電池にためた電気を使用することができ、より電気料金を抑えられるでしょう。

また蓄電池があれば停電にも備えられます。大規模な災害が発生するとライフラインが止まり、電気が使えない状況も起こり得ます。蓄電池に電気が蓄えられていれば、停電時でも電化製品が使えるので大いに役立つでしょう。

蓄電池のデメリットは、導入時にまとまった初期費用がかかる点です。容量が大きく、多くの電気を蓄えられる蓄電池ほど高額になります。自治体によっては、蓄電池の購入時に使える補助金制度を設けているところもあるので、導入を検討する際に確認してみてください。

エコキュート

エコキュートとは、ヒートポンプ技術を活用し、大気中の熱を集めてお湯を作る貯湯式の電気温水器です。電気ヒーターを使わないため、お湯を作るのにかかる電気料金が安く、またガスや灯油を使用しないので環境にも優しいと人気を集めています。

エコキュートは夜間にお湯を沸き上げるタイプのものが多いですが、日中に太陽光発電で作った電気を使用してお湯を沸き上げるタイプのものもあります。エコキュートを導入することで、発電した電力をより無駄なく自家消費できる他、暖かい日中にお湯を沸き上げ、またそのお湯を使用するまでの時間も短いことから、エネルギーのロスが少なくて済むというメリットもあります。もちろん、エコキュートに利用する電気を買わずに済むため、節約効果も期待できます。

デメリットは蓄電池と同じく、導入時にまとまった初期費用がかかる点です。エコキュートはガス給湯器や石油給湯器と比べると、初期費用が高くなる傾向にあります。エコキュートの設置を検討する際は、節約できる電気料金と初期費用を踏まえて、どのくらい使えばトータルでお得になるのかをしっかり確認しましょう。

EV

EV(電気自動車)とは、ガソリンではなく電気で走る自動車のことです。バッテリーに蓄えた電気を使ってモーターを動かし、走行します。

EVのメリットは、太陽光発電で作った電気で車を走らせることができるというのはもちろんですが、蓄電池のように利用することができる点も挙げられます。EVと併せて、V2H(Vehicle to Home)を導入すれば、EVにためた電気を家で使用することができるため、EVが蓄電池の代わりになるのです。

また発電時も走行時もCO₂を排出しない、よりエコなカーライフも実現できるでしょう。

デメリットは他の設備と同様に、導入時にまとまった初期費用がかかる点です。また全てのEVがV2H対応ではなく、さらにV2Hを導入する際に、パワーコンディショナーの取り替えが必要になるケースもありますので、導入の際にはしっかりと確認をする必要があります。

まとめ

卒FIT後は、FIT制度の適用期間中と比べて電気の買取価格が大幅に下がりますが、一方で、太陽光発電で作った電気の利用方法を自由に選ぶことができます。現状の買取価格や電気料金を踏まえると、自家消費率を高めつつ、少しでも買取価格の高い電力会社に売電先を切り替えるのがよいでしょう。

卒FIT後もより多くの売電収入を得たい方は、エネクスライフサービスの「太陽光電力の買取サービス」がおすすめです。高水準の買取価格を実現しており、例えば、関東エリアの買取単価は12.5円/kWhです。さらに、TERASELでんきをご利用の場合は、買取単価が1円アップします。卒FIT後の新しい売電先をお探しの方は、ぜひ、エネクスライフサービスの「太陽光電力の買取サービス」をご検討ください。

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