市場連動型プランとは? 仕組みや計算方法、メリット・デメリットを解説!

投稿日:2024/02/07

更新日:2024/02/19

でんきの豆知識

近年、「市場連動型プラン」を打ち出す新電力会社が増えています。

市場連動型プランは、文字通り、電気の市場価格と連動したプランで、従来の料金プランとは全く異なる仕組みになっています。生活スタイルによっては、市場連動型プランに切り替えることで、従来の料金プランよりも電気料金が安くなるなどのメリットを得られますが、一方で、デメリットやリスクもあります。

本記事では、市場連動型プランの仕組みや計算方法、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

※本記事の内容は2024年2月時点の情報です

市場連動型新プラン登場 TERASELマーケットプラン

この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

市場連動型プランとは?

市場連動型プランは、電気の小売自由化によって誕生した新しい料金制度です。

生鮮食料品などを売買する中央卸売市場や、金融商品を売買する証券取引所のように、電気にも日本卸電力取引所(JEPX)と呼ばれる市場があります。そのJEPXでの電気の取引価格に応じて、電気料金の一部の単価が変動するのが市場連動型プランです。

JEPXでは基本的に、1日24時間を30分ごとの計48コマに分割し、1コマごとに取引を行うため、市場連動型プランでは30分ごとに単価が変動します。

市場連動型プランの電気料金の仕組み

市場連動型プランは、従来の料金プランと電気料金の内訳が異なります。計算式や内訳は電力会社によって異なりますので、本記事では、「TERASELでんき」の「TERASELマーケットプラン」を例にご紹介します。

一般的な市場連動型プランの計算方法

TERASELマーケットプランの電気料金の計算式は、以下の通りです。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金

従来の料金プランと同じ計算式に見えますが、電力量料金の内訳が異なります。

電力量料金 = (電源料金 + 固定従量料金) × 電力使用量

それぞれの内訳は以下の通りです。

  • 基本料金:契約アンペア・契約容量によって決定(固定)
  • 電源料金:30分ごとの市場価格(単価変動)
  • 固定従量料金:託送料金とサービス料を合わせた料金(単価固定)
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金):全ての需要家が負担する料金(単価固定)

市場価格が反映されるのは、電源料金です。また上記のうち、電源料金・固定従量料金・再エネ賦課金は、電力使用量に応じた料金を支払います。

上記のような計算方法の市場連動型プランは、以下のような電力会社で提供されています。

電力会社 ブランド 主なプラン(低圧・一般家庭向け)
株式会社エネクスライフサービス TERASELでんき TERASELマーケットプラン
アストマックス・エネルギー株式会社 アストでんき フリープラン
株式会社Looop Looopでんき スマートタイムONE

独自の燃料費調整額を設定しているプランの計算方法

一般的に市場連動型プランというと、上記のように、30分ごとの市場価格を電力量料金の単価に反映させるプランのことを指しますが、現在、このように明確に市場価格が電気料金に反映されるプランを提供している電力会社はごく少数です。市場価格を電気料金に反映させる方法として、独自の燃料費調整額を設定しているプランの方が圧倒的に多いのです。独自の燃料費調整額は、「燃料費等調整額」や「電源調達調整額」といった名称で書かれています。

こういったプランは、本来の市場連動型プランとは別物ですが、実際のところ「市場価格を反映したプラン」として紹介されているケースが多いため、本記事で、計算式や内訳をご紹介しておきます。

独自の燃料費調整額を設定しているプランの一般的な計算式は、以下の通りです。

電気料金 = 基本料金または最低料金 + 電力量料金 +  再生可能エネルギー発電促進賦課金

電力量料金 =  (従量料金 + 独自の燃料費調整額) × 電力使用量

それぞれの内訳は以下の通りです。

  • 基本料金または最低料金:契約アンペア・契約容量によって決定(固定)
  • 従量料金:使用電力量に応じて支払う料金(単価固定または段階制)
  • 独自の燃料費調整額:市場価格を反映した料金(単月固定)
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金):全ての需要家が負担する料金(単価固定)

実は、独自の燃料費調整額以外、計算式や内訳は従来の料金プランと全く同じです。つまり、このプランは市場連動の要素が極めて限定的なのです。燃料費調整額と独自の燃料費調整額の違いについては、後述します。

独自の燃料費調整額を設定しているプランは、以下のような電力会社で提供されています。

電力会社 ブランド 主なプラン(低圧・一般家庭向け)
HTBエナジー株式会社 HTBエナジー ベーシックプラン
エバーグリーン・リテイリング株式会社 エバーグリーン・リテイリング 従量電灯B
Japan電力株式会社 Japan電力 くらしプランS
株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ スマ電 CO2ゼロ ホームプラン+(プラス)
SBパワー株式会社 ソフトバンクでんき(※) おうちでんき
株式会社東急パワーサプライ 東急でんき 従量電灯B
楽天エナジー株式会社 楽天でんき プランS

※ソフトバンクでんきでは、燃料費調整額とは別に電力市場連動額を導入しています

従来の料金プランと市場連動型プランの違い

従来の料金プランと市場連動型プランの違いは、電力量料金の内訳です。

従来の料金プランの電力量料金は以下の通りです。

電力量料金 = (従量料金 + 燃料費調整額) × 電力使用量

従量料金は3段階料金となっており、電力使用量に応じた1段階~3段階の単価が設定されています。この単価は、料金プランの改定などがない限り、変わることはありません。また燃料費調整額は、1カ月ごとに単価が設定されます。

一方、先述した通り、市場連動型プランの電力量料金は以下の通りです。

電力量料金 = (電源料金 + 固定従量料金) × 電力使用量

電源料金の単価は市場価格に合わせて30分ごとに変動します。固定従量料金の単価は文字通り固定で、料金プランの改定などがない限り、変わることはありません。

上記を踏まえると、従来の料金プランは電力使用量によってのみ電気料金が変動しますが、市場連動型プランの場合は「いつ」「どのくらい」電気を使ったかで電気料金が大きく変動するということが分かります。

市場連動型プランが注目されている理由

2022年は1年を通して電気の市場価格が高く、まだそのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか? ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに燃料価格が高騰し、その結果、市場価格も高止まりしていました。

しかし、2023年春頃から燃料価格が下がり始め、それに伴って市場価格も下落し、比較的低い水準で落ち着くようになりました。その結果、従来の料金プランよりも、市場連動型プランの方が、電気料金が安くなるケースが出てきたのです。

市場連動型プランのメリット

市場連動型プランには、主に電気料金に関するメリットがあります。

電気の使用時間をコントロールすることで電気料金が安くなる

市場連動型プランの場合、30分ごとに電源料金が変動するため、1日の中で電源料金が安い時間と高い時間が存在します。電源料金が安価な時間に電気を使用し、高価な時間は使用を控えるというコントロールをすることで、従来の料金プランよりも電気料金が安くなる可能性があります。

過去の燃料価格が電気料金に影響しにくい

従来の料金プランには、燃料費調整額が含まれており、この単価は、3〜5カ月前の燃料の貿易統計価格に基づき算定されます。

例えば、1月分の燃料費調整単価は、前年8月~10月の燃料の貿易統計価格に基づき算定されるのです。つまり、3カ月以上も前の燃料価格が、後から電気料金に反映される仕組みなのです。

一方、市場連動型プランの場合は、その日の市場価格がその日の電源料金に反映されます。また電力会社によって異なりますが、独自の燃料費調整額の場合でも、前月など近い期間の市場価格が反映される仕組みとなっているケースが多いです。

このように、過去の燃料価格が電気料金に影響しにくい、すなわち、過去の燃料価格の高騰が今の電気料金に影響を与えないというのも、市場連動型プランのメリットの一つとして挙げられます。

※参考:経済産業省 資源エネルギー庁. 「燃料費調整制度について」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/ , (2024-2-7)

市場連動型プランのデメリット・リスク

従来の料金プランに比べて電気料金を安く抑えられる可能性がある一方で、市場連動型プランにはデメリットやリスクもあります。

電気料金が高騰する可能性がある

過去に実際にあったように、燃料価格の高騰や円安、猛暑や寒波などによる電力需要の急増、燃料の在庫減少や発電設備の故障などによる電力の供給量の減少といったことが起こると、短期間で一気に市場価格が高騰する場合もあります。市場価格が高騰している日時に電気を使用すれば、もちろん、電気料金も高騰します。

先述したとおり、従来の料金プランは電力使用量によってのみ電気料金が変動するため、市場価格が高騰してもその影響を受けません。市場価格の高騰によって、電気料金が高騰する可能性があるという点が、市場連動型プランの最も大きなリスクでしょう。

常に市場価格を気にしながら電気を使用する必要がある

繰り返しになりますが、市場連動型プランの場合、30分ごとに電源料金が変動するため、1日の中で電源料金が安い時間と高い時間が存在します。電源料金が高価な時間帯に電気をたくさん使用すると、もちろん電気料金が高くなってしまうため、常に市場価格を気にしながら電気を使用しなければならない点もデメリットといえるでしょう。

電気の使用時間をコントロールする方法

ここからは、市場連動型プランを契約した場合に、電気の使用時間を上手にコントロールする方法をご紹介していきます。

家電の使用時間を変更する(シフト)

最も基本的なのは、市場価格の変動に合わせて、家電の使用時間を変更することです。市場価格は前日に決まるため、翌日のスケジュールを前もって立てることができます。

最近の平日の市場価格は、6:00〜8:00頃と16:00〜23:00頃が高くなる傾向にあります。そのため例えば、アイロンや掃除機は昼間の時間帯に使う、浴室乾燥機や食器洗い機は夜中に動かすなど、消費電力の多い家電や使用時間帯の縛りがない家電については、市場価格の変動に応じて、安価な時間帯に使用するようにしましょう。

蓄電池を活用する

蓄電池を設置している場合は、市場価格が安価な時間帯に充電し、高価な時間帯は蓄電池の電気を使用するようにしましょう。蓄電池があれば、より電気料金を安く抑えられる可能性がある他、家電の使用時間の変更も少なくできるはずです。

蓄電池の設置には初期費用がかかりますが、災害対策にもなるため、市場連動型プランに切り替えるタイミングで導入を検討するのもおすすめです。

市場価格が高い時間帯はガスを優先利用する

先述した通り、最近の平日の市場価格は、6:00〜8:00頃と16:00〜23:00頃が高くなる傾向にあります。一般的な生活スタイルだと、ちょうど朝食や夕食の時間に当たります。

市場価格が高価な時間帯だと分かっていても、どうしても電気を使用しなければならない場合は、ガスを優先利用するようにしましょう。炊飯器や電子レンジではなく、ガスコンロを利用することで、電気料金を抑えることができます。

まとめ

市場連動型プランは、電気の使い方を工夫できる方にとっては、電気料金を安くできる可能性が高い魅力的なプランです。市場価格を意識して電気を使える方や市場価格に合わせて一日の予定を自由に変えられる方は、市場連動型プランへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか?

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