電気代の計算方法は?よく使う電化製品の電気代や節約方法をわかりやすく解説

投稿日:2022/01/04

更新日:2024/09/30

でんきの節約術

毎月の電気代、何にどのくらいかかっているでしょうか?「電気代の請求はくるけどなぜこんなに高いの?」「どう節約すれば安くなる?」と思いつつも何の対策もしないまま、支払い続けているというご家庭も多いでしょう。

そのような場合は、まずよく使う電化製品の中で電気代が高いものを把握し、その電化製品にどのくらいの電気代がかかっているのか計算してみましょう。電気代を知ると使い方を工夫したり、意識して節約ができるようになったりします。また、毎月の電気代はどのような仕組みで計算されているのか、理解することも大切です。

この記事では、よく使う電化製品の電気代の計算方法や、電気代の節約方法などをご紹介します。ご家庭の電気代について詳しくなれますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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なお、本記事の情報は2024年9月時点での情報になります。
最新の情報は各公式ページをご参考ください。

この記事を書いた人

野中 康平
野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

電気代を計算してみよう

電気代の計算には、以下の式が用いられます。

【電気代の計算式】
「消費電力(kW)」 × 「利用時間」 × 「電気料金単価(円/kWh)」

「消費電力」は電化製品を動かすのに必要な電力のこと。単位はW(ワット)で表記されていることが多いのですが、kW(キロワット)に変換します。「1000W = 1kW」です。
「利用時間」は電化製品を利用する時間です。30分は0.5時間となります。

「電気料金単価」は、1時間の電力量に対する電気代の単価のこと。「kWh」という単位は「キロワットアワー」と読み、「kW」に時間をかけたものです。
これは電力会社や利用する時間帯によってバラつきがあります。そこで全国家庭電気製品公正取引協議会という団体が、標準の目安単価を「31円/kWh」としており、電気代の計算にはこれが使われることが一般的です。(※)

では実際に目安単価「31円/kWh」を使用して、ドライヤーの電気代を計算してみましょう。
【例】
1200Wのドライヤーを毎日3分、30日使用した場合、電気代はいくら?

【答え】
48.6円
(計算式)
「1200W(1.2kW)」 × 「3分(0.05h)」 × 「31円/kWh」 = 「1.86円」
「1.86円」 × 「30日」= 「55.8円」

いかがでしたか?はじめは難しく感じるかも知れませんが、電気代が気になった場合は、この式に当てはめて計算してみてください。

参考:全国家庭電気製品公正取引協議会.「よくある質問 Q&A」.
https://www.eftc.or.jp/qa/# ,(2024-09-02).

ちなみに、電化製品の消費電力の記載をチェックすると「定格消費電力」と「年間消費電力」いう表示がありますので、違いをご説明します。
「定格消費電力」は、最大出力時の消費電力です。実際の消費電力はこれを下回る場合もあるということ。
「年間消費電力」は、通常利用で1年間で消費する電力の目安を表したものです。

消費電力とは

先述のとおり消費電力とは、ご家庭で使う電化製品が動作する際に必要となる電力のことです。

エアコンや冷蔵庫、テレビなどの電化製品には、仕様書やラベルに「定格消費電力」や「年間消費電力」と記載されています。消費電力が大きい電化製品ほどエネルギーの使用量は多く、結果として電気代も高くなります。

ただし、「定格消費電力」は消費電力の最大値を表しているため、注意が必要です。例えばファンヒーターやエアコンは、風量の「強」「弱」や設定温度によって消費電力が変動します。また「定格消費電力」が同じ製品を比べたとき、電化製品自体の性能や使用条件が異なる場合は、消費電力にも違いが生じるでしょう。

「年間消費電力」は特に冷蔵庫やエアコンのように、使用頻度や使用条件によって消費電力が大きく変動する電化製品でよく使用されています。「年間消費電力」は具体的な使用状況を想定して出されているものの、実際の消費電力は電化製品の使い方によって大きく変わるため、あくまでも目安として考えましょう。

消費電力を抑えることは、電気代の節約に直結します。消費電力の少ない省エネ型の電化製品を選ぶ他、使用しないときには電源を切る、コンセントを抜くなどの日常的な工夫が効果的です。これらの対策を講じることで、電気の無駄を減らし、家計への負担を軽減できます。

消費電力が多い電化製品は?

ここからは、消費電力の多い電化製品についてご紹介します。「何の電化製品に電気代がかかっているの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
政府の委託調査「令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務(令和3年度調査分の実施等)報告書」によると、2019年度の電化製品の電気使用量ベスト5は以下のようになっています(※)。

  • 1位:エアコン:14.7%
  • 2位:冷蔵庫・冷凍庫:14.3%
  • 3位:照明:13.5%
  • 4位:テレビ:9.4%
  • 5位:パソコン:3.9%

電子レンジやパソコン、ネットワーク関連機器は、上位4つの電化製品に比べるとわずかな電気代という結果に。使用している時間が比較的長い電化製品は、トータルの電力使用量も増える傾向にあるようです。

参考:環境省.「令和3年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務(令和3年度調査分の実施等)報告書」.
https://www.env.go.jp/content/900446992.pdf ,(2024-09-06).

夏場の利用が増える電化製品

1年の中でも特に、夏の電気代が気になるというご家庭は多いでしょう。夏に使用量が増える電化製品は、エアコンと冷蔵庫。特に近年は酷暑が続いているため、熱中症対策で1日中冷房をつけっぱなしにすることも多くなりました。
また冷蔵庫に関しては、夏場は中と外の温度差が大きくなるため、冷却にパワーが必要になるので電気代がかさむ傾向に。エアコンの設定温度を下げすぎないことや、扇風機との併用、冷蔵庫も頻繁に開けないなどの節電対策をして省エネに努めたいものです。

冬場の利用が増える電化製品

夏同様に冬の電気代も気になるところ。冬場に使用量が増える電化製品は、エアコンやヒーター、電気カーペット、電気便座です。家でも暖かい服を着るようにして、部屋の温度を上げすぎないようにすると省エネです。また洗濯物も乾きにくくなるため、乾燥機の使用が増えるご家庭も。まずは外に干して最後の仕上げだけ乾燥機をかけるなど、使用時間が短くする工夫をすると節約になります。

よく使う電化製品の電気代を計算してみよう

続いて、よく使う電化製品はどのくらいの電気代がかかるか、いくつか具体例をあげて計算してみましょう。各電化製品で利用する電気代の単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価「31円/kWh」を用います。電化製品はメーカー各社の公式Webサイトを参考にしています。

冷蔵庫

三菱電気の家族向け冷蔵庫「MR-MB45G」を例に年間の電気代を計算してみましょう(※)。
この製品の年間電力消費量は255kWh/年です。冷蔵庫は季節や利用方法によって電力が変動するため、各製品には年間電力消費量の目安が表示されています。

参考:三菱電気.「冷蔵庫 [本体]冷蔵庫 MR-MB45G-W」.
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/ssl/displayProduct.do?pid=310027&ccd=10201010 ,(2024-09-04).

【計算式】1年間の標準の電気代
「1年」 × 「255kWh/年」 × 「31円/kWh」 =「7,905円」

1年間の電気代は7,905円という結果でした。この冷蔵庫は2021年2月1日に発売されたもので、2021年の省エネ基準を達成しています。この製品のように新しい冷蔵庫で省エネ基準を達成していれば、5年、10年前の製品より電気代が安くなります。

照明器具

パナソニックのLED照明器具「HH-CF1244A」の定格消費電力は44.1Wです(※)。これを1日8時間つけっぱなしにしたとして、電気代を計算してみましょう。

参考:Panasonic.「LEDシーリングライト HH-CF1244A 仕様」.
https://panasonic.jp/light/c-db/products/HH-CF1244A/spec.html ,(2024-09-04).

【計算式】1日8時間使った場合の電気代
「44.1W(0.0441kW)」 × 「8h」 × 「31円/kWh 」 = 「10.912円」

1日当たりの電気代は約11円でした。LED照明は蛍光灯照明よりも50~60%省エネになることが多いため、節電におすすめです。

テレビ

ソニーの4K液晶テレビ「XRJ-65X95J」の電気代を計算してみましょう(※)。この製品は65v型で年間消費電力218kWh/年です(一般家庭での1日の平均視聴時間(4.5時間)を基準)。

参考:SONY.「X95Jシリーズ」.
https://www.sony.jp/bravia/products/XRJ-X95J/?srsltid=AfmBOoqASXlffU8Jhx1zNP47GnIv9TcxHlad5v_GZjWFvDpCInUxHhCX ,(2024-09-04).

【計算式】1年間の標準の電気代
「1年」 × 「218kWh/年」 × 「31円/kWh」=「6,758円」

1年間の電気代は6,758円でした。また画面の大きさが大きければ電力量もアップし電気代が上がります。同製品の比較では、75V型が230kWh/年、85V型が251kWh/年となっています。

エアコン

ダイキンの12畳用エアコン「S364ATES」を参考に電気代を計算してみましょう(※)。JIS規格に基づく年間消費電力は1390kWhとなっています。

参考:DAIKIN.「Eシリーズ 仕様(スペック)」.
https://www.ac.daikin.co.jp/kabekake/products/e_series/spec#shiyou ,(2024-09-04).
【計算式】1年間の標準の電気代
「1年」 × 「1390kWh/年」 × 「31円/kWh」 = 「43,090円」

エアコンの年間消費電力は、JIS規格によって平均的な利用を参考にした計算方法が設定されています。電化製品の特性上、年間を通して利用しない期間があったり、気温の変動で利用状況が変わったりするためです。あくまでも、平均的な利用をした場合の年間の電気代として参考にしてください。

電気便座

パナソニックの温水洗浄便座「ビューティ・トワレ DL-RP20」は年間消費電力量が83kWh/年です(※)。
参考: Panasonic.「温水洗浄便座 ビューティ・トワレ DL-RP20 仕様」.
https://panasonic.jp/toilet/c-db/products/DL-RP20/spec.html ,(2024-09-04).

【計算式】1年間の標準の電気代
「1年」 × 「83kWh/年」 × 「31円/kWh」 = 「2,573円」

年間の電気代は2,241円となりました。温水洗浄便座は貯湯式と瞬間式に分かれますが、この製品は瞬間式です。貯湯式よりも瞬間式のほうが購入時の本体価格は高めですが、電気代は約半分程度になります。

家庭の電気代はどうやって決まる?

ここからは電気代のしくみをご説明します。「毎月の電気代はどうやって決まっているの?」という疑問を解決していきましょう。

月々の電気代の内訳

毎月の電気代は、契約容量の契約ごとの「基本料金」と、電力の使用量により計算される「電力使用料金」、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つを合わせた金額です。式にすると以下のようになります。

「基本料金」 +「電力使用料金(燃料費調整制度により調整)」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が国から買い取ることが約束されており、その費用を徴収する金額のことです。ちなみに「電力使用料金」には、電力を作る燃料などの価格変動に対応するため「燃料費調整制度」が適用され、金額が調整されています。

夫婦2人暮らしの場合

2人暮らしの世帯における平均的な月々の電気代は、政府の統計によると2023年時点で10,940円です(※)。

電気代は、基本料金と実際の使用量に基づく電力量料金で構成されるのが基本です。夫婦2人暮らしの特徴として、日常生活で使用する電化製品の数は少なめだと考えられます。そのため単身世帯や子育て世帯と比較すると、電力消費量は抑えられる傾向にあるでしょう。夫婦共働きで日中不在にしがちなご家庭などは、電気使用量が少ない方向けのプランを選択しているケースもあります。

一定の生活スタイルで暮らす夫婦の場合は、電力消費量が安定しやすく、月々の電気代の変動も小さくなるはずです。

参考:総務省.「家計調査(家計収支編)」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0002070009 ,(2024-09-04).

家族4人暮らしの場合

4人暮らしの世帯の場合、月々の平均的な電気代は2023年時点で13,532円です(※)。この金額は、単身世帯や夫婦2人暮らしの世帯と比較すると、かなり高めの数字です。

4人家族の電気代が高くなる主な理由としては、世帯人数が増える分、必然的に使用する電力量も増加することが考えられます。単身世帯や夫婦2人暮らしの場合よりも照明器具や電化製品の使用頻度が増え、それぞれの稼働も多くなるでしょう。テレビやパソコン、エアコンなどの大型電化製品の使用時間が増えるのはもちろん、洗濯機や食器洗い機などの使用回数も増加しがちです。

より多くの電力が必要となるため、電気使用状況に合わせて、通常より高めの契約アンペア数を設定しているご家族もあるようです。

参考:総務省.「家計調査(家計収支編)」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0002070009 ,(2024-09-04).

1人暮らしの場合

1人暮らしの世帯(単身世帯)における平均的な月々の電気代は、2023年時点で6,726円と、2人以上で暮らしている世帯と比較すると比較的低めです(※)。1人暮らしの場合、日常的に使用する電化製品の数や稼働時間が限られ、必然的に消費する電力量が少ないことが要因として考えられます。

ただし1人暮らしであっても、基本料金は2人以上の世帯とほぼ変わらないため注意しましょう。オール電化などで契約アンペア数を高めに設定していると、2人以上の世帯と同等か、それ以上の電気代がかかるかもしれません。仕事の都合などで家の中で過ごす時間が多い方などは、電気使用量が多い方向けのプランを検討するのも一つの方法です。

参考:総務省.「家計調査(家計収支編)」.
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003000797 ,(2024-09-04).

電力小売自由化で新料金プランが多様に

従来は住んでいる地域によって、電力を販売する会社が決まっており、利用する電気を選ぶことはできませんでした。しかし、2016年4月1日の電力小売自由化後には、電力会社はもちろん、多彩な料金プランから利用者が自由に選ぶことが可能になりました。
ライフスタイルに合わせて利用時間帯料金が変わるプランや、電気とガス、電気と通信回線などのセット割引、ポイント付与サービスなど電力会社各社から特色あるサービスが展開されています。
また、ふるさとで発電された電力や再生可能エネルギーを積極的に利用するプランなら、電気を通じて社会貢献することもできるのです。

電気代を節約する方法は?

最後に、電気代を節約する方法を5つご紹介します。電気代の節約は、家計にも地球にもやさしい行動です。ぜひ実践してみてください。

契約アンペア数を見直す

アンペア(A)とは電気が流れる量の単位で、各ご家庭で契約しているアンペア数によって基本料金が異なります。アンペアが高くなれば、一度に使える電力量が大きくなり、基本料金も上がるしくみです。
家庭用のアンペアは10A~60Aがあり、オール電化のご家庭では60A以上必要になることも。契約アンペアを見直す際は、同時に使用する最大電気量を考慮して検討します。ただし、アンペアを下げても利用状況によっては結局電気代が変わらないこともありますので、変更の際は電力会社に確認しましょう。

待機消費電力を減らす

使っていない電化製品のコンセントは小まめに抜くことを意識しましょう。テレビやエアコンなどの大型電化製品は難しいかもしれませんが、炊飯器や電気ポット、ドライヤーなどは工夫次第で可能です。
また、近年ではスマートフォンやノートパソコンなど充電するものが多く見られます。充電はいつも十分にしておきたいものですが、実は満タンの状態で充電をし続けるのは、バッテリーにも良いことではないのです。充電のタイミングを変えれば、電気代にもバッテリーにも優しく一石二鳥に。
電源コードの抜き差しが面倒に感じる方は、ON/OFFボタンがついた電源タップを利用するのも手です。

電化製品の省エネを意識する

テレビや照明器具などは、つい使っていない時もつけっぱなしにしがち。使用していないときは意識して小まめに消すようにしましょう。
エアコンは、設定温度を適切に保つことで省エネ効果があります。そして効果を最大限にするには、フィルターの掃除が欠かせません。またエアコンは稼働時に最も電力を消費するため、小まめに電源を切るよりも、ある程度の時間なら稼働したままの方が省エネになります。
冷蔵庫の場合は、冷蔵部分はものを詰めすぎないように、逆に冷凍部分はスカスカにならないようにすると、効率的に冷却が行われます。

古いものは省エネ電化製品に買い替える

エアコンや冷蔵庫は、10年前の電化製品よりも新しい年に作られた製品の方が、省エネ基準が高い傾向にあります。まだ使えるから…とためらっているよりも思い切って買い替えを検討してみましょう。省エネ電化製品の買い替えに助成金が出るキャンペーンがあることも。買い替えるときは、「省エネ基準達成率」のラベルの星が4~5つのものは省エネ効果が高いので、参考にするとよいでしょう。
照明器具については、蛍光灯からLEDに切り替えると電気代は半分以下に。LEDは持ちも良いので、買い替えのサイクルも長く手間も省けます。

生活スタイルに合う料金プランに切り替える

電力小売自由化によって、さまざまな電気代のプランから選べるようになりました。お得な時間帯が設定されているプランや、基本料金がないプラン、たくさん電気を使うご家庭向けなど、それぞれ特徴があります。ガスや通信回線とセットで契約すると割引になったり、提携しているポイントが利用料金に応じて付与されたりするサービスも。生活スタイルに合ったプランを選んで、少しでもお得に電気を使いたいものです。

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