投稿日:2021/12/27
更新日:2024/12/26
でんきの節目
ご家庭で使われるエネルギーの3割は給湯であることをご存じでしたか?給湯にかかる電気料金を抑えられれば、電気料金を削減できます。
給湯の電気料金を低減するのに効果が高いとされる給湯器が、エコキュートです。
この記事では、エコキュートの仕組みやメリット、実際にかかる電気料金、電気料金節約のポイントなどをご紹介します。エコキュートであればどう節電につなげられるのか興味がある人は必読です!
なお、本記事の情報は2024年8月時点での情報になります。
最新の情報は各公式ページをご参考ください。
目次
エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「直湯ユニット」の2つで構成されています。
ヒートポンプユニットでは、外の大気を取り込んで得た熱を、自然触媒の二酸化炭素に吸収。この二酸化炭素を圧縮して高温にし、その熱を利用して水を沸かしています。温められたお湯は直湯ユニットに貯められ、ご家庭内で利用されます。
この仕組みにより、空気の温度が高い夏場ならその熱を多く利用でき、温度維持にかかる消費電力も少なくて済むためが下がります。一方、大気中の温度が低い冬場は利用できる熱が少なくなるため、そのぶん消費電力も増えが高くなるのです。
エコキュートを使用すると、次の2つのメリットが得られます。
1つは、ガス給湯器に比べて光熱費が安く抑えられる点。空気の熱を利用してお湯を沸かすため、電気料金が少なくて済みます。
もう1つは、ガス給湯器に比べてCO2排出量が少ない点です。自然触媒にCO2を利用してCO2排出量を削減でき、地球温暖化を防止する効果もあります。
以上2つのポイントは、以下でもう少し詳しく解説します。
ガス給湯器は、ガスを燃焼させて発生した熱により水を沸かします。給湯器そのものを動かすには電気を使用しています。現在のガス給湯器は瞬間湯沸かし式が主流のため、水道の蛇口をひねるたびにガスと電気が消費される仕組みです。
一方のエコキュートでは、電気も使用しつつ空気の熱を利用してお湯を作るという高効率化により、電力使用量が大幅にダウンします。日中よりも割安な夜間電力を使用して貯めたお湯を日中生活用水として利用します。いわば少ない消費電力でお湯を作れるのがエコキュートのメリットです。
同じ水量で考えると、ガス給湯器よりも省エネの仕組みであるエコキュートの方が、必然的に全体の光熱費はかなり安く抑えられます。
出典:ダイキンエコキュート
https://www.daikinaircon.com/sumai/alldenka/ecocute/denki/index.html?ID=sumai_alldenka_ecocute_https://totsugekitai.com/media/ecocute210207.html
出典:中部電力カミライズ
https://miraiz.chuden.co.jp/home/electrify/cost/index.html
ガス給湯器はお湯を沸かす際にガスを燃焼させるので、そのたびにCO2が発生します。さらに、現在の主流である瞬間湯沸かし式の場合、水道の蛇口をひねるたびにガスが燃焼するため、都度CO2が発生します。
一方のエコキュートは、ヒートポンプ方式により電気も使用しつつ熱を吸収するCO2の性質を利用します。低温のCO2を自然冷媒として空気中の熱を吸収し、それを圧縮してさらに高温化。その熱を利用してお湯を沸かします。冷媒であるCO2を膨張させて再び低温に戻し、次なる空気中の熱を吸収するサイクルを繰り返します。この仕組みにより、CO2の排出量を低減できます。
従って、地球温暖化防止への貢献を考えると、ガスよりもエコキュートがより貢献していると言えるでしょう。
出典:ダイキンエコキュート
https://www.daikinaircon.com/sumai/alldenka/ecocute/denki/index.html?ID=sumai_alldenka_ecocute_
https://totsugekitai.com/media/ecocute210207.html
出典:ヒートアイランド現象による環境影響などに関する調査 P3
https://www.env.go.jp/air/report/h22-05/03-1.pdf
魅力の多いエコキュートですが、一部では「エコキュートはやめておけ」といわれることがあります。これには、以下のような理由が考えられます。
エコキュートを導入する際は一定の費用が必要です。一般的なガス給湯器の倍に近い、40~80万円ほどかかると見込んでおきましょう。
とはいえ利用する年数を加味すると、実際の差はそこまで大きくなりません。エコキュートの耐用年数は、ガス給湯器の1.5倍にあたる15年が目安です。節電効果も含めて考えると、長期的には節約につながるはずです。
エコキュートは、エアコンの室外機のような見た目の「ヒートポンプユニット」と、お湯をためておくタンクで構成されています。エコキュートで一度に使えるお湯の量は、基本的にタンクの容量までです。そのため短時間のうちにお湯を使い過ぎてしまうと、お湯切れが起きる可能性があります。
お湯切れになると、通常どおり都度お湯をつくらなくてはなりません。時間帯によっては、電気料金が高い時間帯に多くの電力を使うことになり、かえって電気代がかかってしまう可能性があります。
お湯切れを予防するには、家族の人数や過ごし方を考慮した上で、自宅に合ったタンク容量のエコキュートを導入すると良いです。またこまめにお湯をつくる機能が付いた、高機能なエコキュートを選ぶのもおすすめです。設置スペースを考えながら、自宅に合ったものを検討するとよいでしょう。
エコキュートを導入すると、シャワーなどの水圧が弱くなる可能性もあります。ガス給湯器と比べ、エコキュートは圧力に弱いことが原因です。一般的なエコキュートは、タンクに負荷がかかるのを防ぐため、水圧を約180kPaに抑える減圧弁が付いています。
水圧が高いほうが好みという人は、水圧を上げられるシャワーヘッドに取り替えたり、高い水圧を維持できたりするエコキュートを選ぶのがおすすめです。
エコキュートの動作音が気になるという人もいるかもしれません。電気代を抑えられる深夜に稼働することが多いので、心配な場合は家族や近隣住民の理解を得ておくとよいでしょう。
ただし一般的なエコキュートの動作音は40dB〜50dBといわれており、エコキュートから騒音レベルの動作音がするかといえば、そのようなことは考えにくいです。なるべく音が気にならない位置に設置したり、防音対策をしたりすることで、ある程度は防げるでしょう。
エコキュートは、以下のような家庭におすすめです。
エコキュートをうまく活用すると、本来ならば給湯のたびにかかるはずの電気代を削減できます。大家族などお湯を使う量が多い家庭は、エコキュートによって毎月の光熱費を削減できるでしょう。
エコキュートと太陽光発電を併用すると、先述したお湯切れの状態を回避できる可能性があります。夜間にエコキュートでお湯をためておき、日中にお湯が足りなくなった場合は太陽光発電による電気を使って給湯するという、効率的な稼働が実現します。夜間の電気代がおトクになるプランにしている場合などは、特に大幅な節約効果を得られるでしょう。
またお湯をためておけるので、万が一の停電の際の備えにもなると考えられます。
オール電化住宅は光熱費を電気に頼る分、電気代が高くなりやすいです。電気温水器で給湯する場合、消費電力はエコキュートの3倍近くかかります。これからオール電化住宅に引っ越す予定の家庭は、同じタイミングでエコキュートも導入しておくとよいでしょう。
実際、エコキュートの電気料金はどれくらいになるのでしょうか。電気料金は、契約している電気料金プランや居住地、使用する時間帯、使用している機器の効率などによっても変わります。
そこでパナソニックが公開しているデータ(HE-JPU37KQSに基づく)をもとに、1時間あたり・1日あたり・1カ月あたり・1年あたりのエコキュートの電気料金を1つひとつみていきます。
なお理由については後述しますが、ランニングコストは地域によって大きな差が出るので、ここでは参考例として、北海道地域(コストが最も高い)、東京地域、関西地域、九州地域、沖縄地域(コストが最も安い)の5地域に絞ってみていきます。お住まいの地域でのエコキュートに要する電力を調べる際の参考にしてください。
出典:パナソニックによる地域別のランニングコストの比較
https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html
実は、エコキュートは24時間稼働しているものではなく、夜間に加温、昼間に保温する機械。消費電力はそのときどきでまちまち。
その背景も踏まえて、エコキュートを利用した給湯に要する3時間あたりの電気代(*1カ月=30日、1日=3時間程度の稼働で算出)は、5地域で以下のとおりです。
▼エコキュート1時間あたりの電気代目安(エリア別)
エコキュートの電気代は1時間あたり約18〜50円と、地域差により大きな幅があります。電気代は24時間を通しても変動するため、1日のうちで、いつエコキュートを使用するかによっても、1時間あたりの電気代は変化します(詳細は後述)。
では、1日あたりの電気代(*1カ月=30日として算出)はどれくらいでしょうか?
1日あたりの電気代は約56.7〜150円と、地域差により大きな幅があります。エコキュートは外気温を利用してお湯をつくる仕組みのため、1日あたりの電気代はその日の気温にも影響されます(詳細は後述)。気温が高い日なら電気代は安く、気温が低い日は電気代も安くなる傾向があります。
1か月あたりでは、電気代は地域ごとに以下のとおりです。
1か月あたりの電気代は約1,700〜4,500円の幅と、より地域差が明確に実感できます。エコキュートの仕組み上、1か月あたりの電気代は季節により変動し、気温が高い夏場は安く、気温が低い冬場は安くなる傾向があります(詳細は後述)。
年間でのランニングコスト(*1年=12カ月で算出)を見てみましょう。
1年あたりの電気代は約20,400〜37,200円の幅があり、より平均気温が高い南へ行けばいくほど、年間の電気代は安くなる傾向があります。
地域差はあるものの、電気温水器や石油給湯器、ガス給湯器と比較すると、年間のランニングコストが数分の一〜半分以下で抑えられるのは、エコキュートの大きなメリットです。
参考:Panasonic.「低ランニングコスト」
https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html ,(2024-08-22).
エコキュートの電気料金は、1日の時間帯によって異なります。その原因を見ていきましょう。
昼間はご家庭や企業、商業施設、工場、交通機関などさまざまなものが電気を使用して機能しています。また、大半の人々は仕事や学業などで日中活動しています。そのため、日中は多くの電力が消費されることになります。
日中に消費される膨大な電力を賄うためには、火力、水力、風力、原子力などさまざまな発電所の稼働が必要です。発電所の稼働にランニングコストもかさみます。そのためエコキュートで使用する電気料金は、日中は高くなる傾向があります。これはエコキュートだけでなく、他の電気を使用する機器や設備でも同じです。
一方で、夜間は基本的にさまざま活動が休止状態に入るため、社会全体の電力消費が下がります。余った電気は使い道がないため、夜間は電気料金が下がります。従って、夜はエコキュートの電気料金も安くなります。
エコキュートの電気料金が季節ごとに異なるのは、仕組みそのものが原因です。
エコキュートに使用されるヒートポンプ方式では、熱を吸収するCO2の性質を利用して、ヒートポンプユニットに取り込んだ外気の熱を吸収し、お湯を沸かすのにその熱を利用します。
夏場は外気の温度も上がるため、空気中からよりたくさんの熱を吸収して利用できます。さらに、貯湯タンク内の温度を低めにしておいても、湧き上がるお湯の温度を低めに設定できます。そのぶん消費電力が少なく済み、結果として電気料金も低く抑えられます。
一方、冬場は外気の温度が下がるため、空気中から得られる熱の量は夏場ほど多くはありません。十分な湯量を確保するため、貯湯タンク内の温度と湧き上がるお湯の温度と高めに設定しています。その分より多くの電力を消費することで、電気料金が上がってしまいます。
エコキュートに要する電気料金は、地域により差が出ます。
パナソニックの調査データによると、給湯に要する1カ月あたりの平均ランニングコストは以下のとおりです。
参考:Panasonic.「低ランニングコスト」.
https://sumai.panasonic.jp/hp/2point/2_3.html ,(2024-08-22).
地域ごとの比較では、冬が長く寒冷化する北海道が突出してランニングコストが高い傾向を示しています。
エコキュートの電気料金が高くなる原因は以下が考えられます。
それぞれの原因ごとに詳しく見ていきましょう。
前述のとおり、夜間は電気料金が安くなる傾向があります。そのため、一般的なエコキュートは、より安価な夜間電力を利用して、日中に使用するためのお湯を沸かして貯湯タンクに貯めておくことで、ランニングコストを抑えています。そのぶん、日中の電気料金は高く設定されています。
ところが、貯めておいたお湯を日中のうちに使い切ってしまった場合、さらなる補充が必要です。湧き増し設定が自動化されている場合、日中よりも2~3倍も料金が高い電力を消費してお湯を沸かします。結果、普段よりも数倍高いコストが発生してしまいます。
せっかく深夜電力を使用してコストを安く抑えるエコキュートのメリットが活かされない状況となるのです。
エコキュートにはさまざまな節約機能が備わっていますが、うまく活用しないと電気料金が上がる原因となります。以下は代表的な節約機能です。
現在設定されている電気料金プランが、生活スタイルにマッチしていないため、電気料金が高額になっている可能性があります。
一般的に、エコキュートを設置する場合は、電気料金が安価になる深夜帯の電力を利用した料金プランを設定しています。この場合、深夜帯は電気料金が安くなる代わりに、日中に使用する電気料金は倍以上高くなります。
よって、通常の一般家庭のような夜間ではなく日中に自宅で過ごすパターンが多い場合は、エコキュートを含め日中の電気消費量が上がります。結果、電気料金が高騰してしまうのです。
安かろうと思って設定した料金プランがかえって節約の足を引っ張ることになるため、より今のライフスタイルに合った料金プランへの切り替えが必要です。
エコキュートに要する電気料金を節約するには、いくつかの法方があります。
それぞれの対応方法ごとに、詳しく見てみましょう。
電気料金の節約には、日中の沸き増しを減らすのが重要です。前述のとおり、夜間電力を活用した料金設定の場合、日中に給湯器を使用していてお湯が切れ自動沸き増し機能が作動すると、電気料金は数倍に跳ね上がります。
よって、家族が後で使うお湯を確保するために沸き増しが必要な場合などを除き、例えば夜間働いている1人暮らし世帯で、それ以上のお湯を使う必要がない場合などは、その日の自動湧き増し設定をオフにしておくと、余分な沸き増しを減らすことが可能です。
エコキュートに備わったさまざまな節約機能を上手に使うことで、電気料金を節約できます。
例えば、ピークカット機能を設定すれば、電力需要が高まる時間帯、つまり電気料金が上がる時間帯での自動湯増し運転を回避できるため、節電に貢献できます。
さらに、沸き上げ時間シフト機能を設定しておけば、電気使用料が増え始める朝方には沸き上げを完了してピークを抑制することで、節電効果が上がります。
その他、例えばフルオートタイプのエコキュートに搭載されている自動保温機能は、デフォルトでは2~3時間の設定です。これを、湯はり後に家族の入浴時間が集中するより短い時間帯に設定しておけば、電気消費量を抑えられます。
他にもメーカーや機種ごとにさまざまな節約機能があるので、うまく活用して節電に努めれば、電気料金の節約につながります。
現在の自分や家族の生活スタイルを見直してみるのも、電気料金を節約する1つの手です。例えば、電気料金が高くなる時間と安くなる時間帯の区切りをしっかり把握しておけば、安くなる時間帯に集中してエコキュートを使用できます。エコキュートだけでなくご家庭内の他の電化製品も安い時間帯に集中して使うよう工夫すれば、一層の電気料金節約につながります。
今の電気料金プランが自分の生活スタイルに合っていない場合、意図せず高い電気料金を支払っている可能性があります。よって、電気料金プランを見直すことで、節電効果が期待できます。
各電力会社が提供している電気料金プランはさまざま。オール電化向けに電気料金を節約できるプランも用意されています。今の電気料金が高いと感じる場合、あるいはより今の生活スタイルに合った電気料金プランが知りたいと思う場合は、電力会社に相談してみるのも1つの手です。
エコキュートを有効活用して電気料金を安く抑えるさまざまな方法をご紹介しました。
従来型の給湯器よりもランニングコストをかなり抑えられるのが、エコキュートの大きな魅力。その電気代をもっと安く抑えたいなら、今話題の新電力への乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか?
「TERASELでんき」は、その選択肢の1つ。世帯人数や、エコキュートを含めた夜間に稼働する機器の使用など、ライフスタイルに合わせた電気代節約をご提案します。
例えば、「超TERASELプラン」は、使えば使うほど電気代がお得になるシステム。電気製品を多く使用する方や、人数が多いご家族などに最適のプランです。もちろん、電気使用量がさほど多くないケースにも適した料金メニューもご用意しています。
TERASELでんきに乗り換える場合、切り替えに伴う工事や費用はいっさい必要ありません。お住まいの地域が供給エリア内にあれば、乗り換えで電気代が安くなるチャンス! ぜひ以下の供給エリア一覧をご確認ください。
関連記事
人気の検索キーワード