投稿日:2025/04/01
更新日:2025/03/26
でんきの節約術
働き方の多様化や余暇の過ごし方の変化によって、ノートパソコンは今や仕事や生活に無くてはならない家電の一つになっています。昨今は電気料金の高騰が続いているので、電気料金を節約したい方にとっては、ノートパソコンがどのくらいの電力を消費するのか気になるでしょう。
本記事ではパソコンの種類ごとの消費電力や、電気料金の目安について詳しく解説します。消費電力は使用する目的やタイミングによっても変わるので、使い方や工夫できるポイントも併せてご紹介します。ノートパソコンを使いながら電気料金を節約したい方は、ぜひ参考にしてください。
※本記事の内容は2025年3月時点の情報です
目次
電化製品の電気料金は、以下の式で算出できます。
消費電力とは、ノートパソコンを動かす際に必要な電力のことです。W(ワット)という単位で表され、数字が大きいほど多くの電力が必要になります。機種ごとの消費電力は取扱説明書やメーカーのWebサイトで確認できます。
電力量料金単価とは、1kWの電力を1時間使用したときの料金単価です。電力会社や料金プランによって異なるので、ご家庭で契約しているプランの料金単価を確認してください。電力の使用量に応じて3段階で単価が上がる「三段階料金制度」を採用しているプランや、電力の市場価格に連動して電力量料金単価が変わるプランなどがあります。
本記事では、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が設定している目安単価の31円(/kWh)を用いてシミュレーションします。
※参考:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会.「よくある質問 Q&A」.https://www.eftc.or.jp/qa/?topics=1#qa3 ,(2025-03-05).
パソコンは大きく、ノートパソコンとデスクトップパソコン、ゲーミングパソコンの3種類に分けられます。使用環境やパソコンのスペックによっても変わりますが、消費電力と1時間当たりの電気料金の目安は以下の通りです。
種類 | 参照機種 | 消費電力 | 1時間当たりの電気料金 | ||
スリープ時 | 標準時 | 最大時 | |||
ノートパソコン | NEC
LAVIE N16 |
0.4W | 6.2W | 65W | 0.0124~2.015円 |
デスクトップパソコン | 富士通
FMV F77-K1 |
3.7W | 30W | 117W | 0.1147~3.627円 |
ゲーミングパソコン | マウスコンピューター
G TUNE E5-I9G70BK-A |
2.38W | 12.51W | 280W | 0.07378~8.68円 |
種類ごとの違いを詳しく見てみましょう。
ノートパソコンとは、本体とディスプレイ、キーボードが一体になったタイプのパソコンです。他のパソコンよりも比較的軽量なのでリビングや寝室、仕事部屋へ簡単に持ち運べます。今回はNECのLAVIE N16を例に、1時間当たりの電気料金を見てみましょう。
種類 | 消費電力 | 1時間当たりの電気料金 | ||
スリープ時 | 標準時 | 最大時 | ||
LAVIE N16 | 0.4W | 6.2W | 65W | 0.0124~2.015円 |
それぞれの電気料金を算出する計算式は以下の通りです。
【スリープ時の電気料金】
WをkWに変換:0.4W ÷ 1,000 = 0.0004kW
1時間当たりの電気料金:0.0004kW × 1時間 × 31円/kWh =0.0124円
【標準時の電気料金】
WをkWに変換:6.2W ÷ 1,000 = 0.0062kW
1時間当たりの電気料金:0.0062kW × 1時間 × 31円/kWh = 0.1922円
【最大時の電気料金】
WをkWに変換:65W ÷ 1,000 = 0.065kW
1時間当たりの電気料金:0.065kW × 1時間 × 31円/kWh = 2.015円
1日9時間ノートパソコンを使った場合の電気料金は、0.1116~18.135円程度です。
※参考:LAVIE.「製品仕様 LAVIE N16(カタログモデル) 仕様一覧」.https://www.nec-lavie.jp/navigate/products2/pc/251q/02/lavie/n16/spec/index.html ,(2025-03-13).
デスクトップパソコンとは、ディスプレイとキーボードが分かれているタイプのパソコンです。本体はディスプレイと一体型や分離型があります。ここでは本体とディスプレイが一体型の富士通FMV F77-K1を例に、1時間当たりの電気料金を見てみましょう。
種類 | 消費電力 | 1時間当たりの電気料金 | ||
スリープ時 | 標準時 | 最大時 | ||
FMV F77-K1 | 3.7W | 30W | 117W | 0.1147~3.627円 |
それぞれの電気料金を算出する計算式は以下の通りです。
【スリープ時の電気料金】
WをkWに変換:3.7W ÷ 1,000 = 0.0037kW
1時間当たりの電気料金:0.0037kW × 1時間 × 31円/kWh =0.1147円
【標準時の電気料金】
WをkWに変換:30W ÷ 1,000 = 0.03kW
1時間当たりの電気料金:0.03kW × 1時間 × 31円/kWh = 0.93円
【最大時の電気料金】
WをkWに変換:117W ÷ 1,000 = 0.117kW
1時間当たりの電気料金:0.117kW × 1時間 × 31円/kWh = 3.627円
1日9時間デスクトップパソコンを使った場合の電気料金は、1.0323〜32.643円程度です。ノートパソコンと比べると、消費電力がやや大きい傾向にあることが分かります。
※参考:FMV.「仕様一覧」.https://www.fmworld.net/fmv/desktop_f/2501/spec/?from=f_float ,(2025-03-13).
ゲーミングパソコンとは、高精細・高画質の3Dグラフィックゲームをスムーズにプレイできるように作られたタイプのパソコンです。ゲーミングパソコンと一口に言っても、パソコンの頭脳であるCPUや映像処理を行うグラフィックボード、データを保存するHDDといった主要パーツの組み合わせで消費電力は大きく異なります。そのためエントリーモデルからハイエンド・フラッグシップモデルまで、300〜900Wもの差があります。
今回はノート型のゲーミングパソコンである、マウスコンピューターのG TUNE E5-I9G70BK-Aを例に、1時間当たりの電気料金を見てみましょう。
種類 | 消費電力 | 1時間当たりの電気料金 | ||
スリープ時 | 標準時 | 最大時 | ||
G TUNE E5-I9G70BK-A | 2.38W | 12.51W | 280W | 0.07378~8.68円 |
それぞれの電気料金を算出する計算式は以下の通りです。
【スリープ時の電気料金】
WをkWに変換:2.38W ÷ 1,000 = 0.00238kW
1時間当たりの電気料金:0.00238kW × 1時間 × 31円/kWh =0.07378円
【標準時の電気料金】
WをkWに変換:12.51W ÷ 1,000 = 0.01251kW
1時間当たりの電気料金:0.01251kW × 1時間 × 31円/kWh = 0.38781円
【最大時の電気料金】
WをkWに変換:280W ÷ 1,000 = 0.28kW
1時間当たりの電気料金:0.28kW × 1時間 × 31円/kWh = 8.68円
1日9時間ゲーミングパソコンを使った場合の電気料金は、0.66402〜78.12円程度です。
同じノートパソコンでもスペックの違いで、消費電力が大きく異なることが分かります。また最大時の消費電力がノートパソコンの約4.3倍、デスクトップパソコンの約2.4倍もあるので、消費電力が大きくなるタイミングに注意が必要です。
※参考:mouse.「G TUNE E5-I9G70BK-A」.https://www.mouse-jp.co.jp/store/g/ggtune-e5i9g70bkabcw102dec ,(2025-03-13).
パソコンは種類にかかわらず、標準時と最大時の消費電力に差があります。先述した通り、消費電力が大きいほど電気料金が高くなるので、どのようなタイミングでパソコンの消費電力が大きくなりやすいのかを把握することが重要です。ここでは5つのタイミングをご紹介します。
電化製品は、電源をつけたり稼働し始めるときに消費電力が大きくなりやすいですが、パソコンは起動時とシャットダウン時の両方で消費電力が大きくなります。
起動時はOSが必要なアプリを一から立ち上げるので、多くの電力を消費する傾向にあります。一方シャットダウン時は、情報を読み込んだり保存したりした後に立ち上げた全てのアプリをオフにする必要があるため、消費電力が大きくなりやすいです。
ノートパソコンに複数のディスプレイを接続すると、モニターに情報を表示するための処理をディスプレイの台数分行う必要があるため、グラフィックボードへの負荷が高まり消費電力が大きくなります。また複数のアプリを同時に開くのも、マルチタスクになってしまうため、ノートパソコンに負荷がかかりやすいです。
サブスクリプションの動画配信サービスが増えたこともあり、パソコンで動画を見る時間が増えた方も多いでしょう。動画を視聴する際は、高解像度のデータの読み込みやグラフィックボードの処理が必要なので、消費電力が大きくなります。
ゲームをするときも同様で、3Dの高精細なグラフィック処理をするほどノートパソコンへの負荷が高まりやすいです。
画像や動画の編集・加工はテキスト入力や表計算といった作業と比べると、読み込むデータや処理する工程が多くなるため、CPUやグラフィックボード、メモリに負荷がかかりやすいです。
画像の色を変える、サイズを変えるといった作業も膨大な処理が必要になるので、消費電力が大きくなりやすいです。
OSや、パソコンに入れているセキュリティソフトやアプリなどは、定期的にシステムの更新・アップデートを行っています。その際、古いファイルの削除や新しいファイルのダウンロード・インストールを行う他、パソコンを再起動させるため消費電力が大きくなります。
またセキュリティソフトがウイルススキャンを行う際は、ストレージ内のファイルを全件チェックするためストレージへのアクセスが増え、パソコンに負荷がかかりやすいです。これらの機能は手動で操作をしなくてもバックグラウンドで自動的に行われることが多いため、気付かないうちに大きな電力を消費していることもあります。
パソコンは使い方や作業内容によって消費電力が大きくなりやすいですが、仕事や日常生活で使用頻度を減らしたり時間を短くしたりするのは難しいものです。ここからはノートパソコンを使いながら、月々の電気料金を節約できる10の方法をご紹介します。
ノートパソコンを起動すると自動的に立ち上がるアプリやプログラムもあるため、不要なものを入れたままにしていると余計な電力を消費してしまいます。またアプリやプログラムが多いとパソコンの起動速度が遅くなるので、消費電力が大きくなる時間も長くなりかねません。
使っていないアプリやプログラムがないかを定期的にチェックをして、不要なものは削除しましょう。起動時やバックグラウンドでの余計な消費電力が減るので、電気料金の節約につながります。
省電力モードとは、その名の通りノートパソコンの消費電力を抑えるための機能です。例えばWindows 11では、以下の手順でディスプレイの電源を切る時間やスリープ状態にする時間を設定できます。ディスプレイの明るさなどの追加設定も可能です。
またバッテリー稼働の消費電力を抑えられる「バッテリー節約機能」もオンにすることで、通知やバックグラウンドでの稼働を制限できます。上記の手順2「電源とスリープ」の下に「バッテリー」というメニューが表示されているので、そこから設定してください。
シャットダウンと起動によって大きな消費電力がかかるのを防ぐために、パソコンをつけたままにすることもあります。しかし、スリープ状態でも電力を消費するので、作業を中断する時間によってはシャットダウンした方が良い場合もあります。
お昼休憩程度の離席であればスリープでよいですが、それ以上の離席になる場合はシャットダウンする習慣を身に付けましょう。
ディスプレイの輝度(明るさ)が過剰に高いと、余計な電力の消費につながります。仕事や動画視聴に支障が出るほど輝度を下げる必要はありませんが、初期設定のままから変えていないという方は調整してみてください。
音声をノートパソコン本体から出すのではなく、イヤホンやヘッドホンに切り替えるのも節電につながります。同じ音量を出すための消費電力が少なくなるからです。
スピーカーの臨場感を楽しむのも良いですが、イヤホンやヘッドホンによる没入感を楽しめるでしょう。特に動画視聴やゲームをする方は試してみてください。
パソコン内部に熱がたまるとファンを回して放熱しようとします。しかし、ほこりや汚れで通気口がふさがっていると効率良く冷却ができず、消費電力が大きくなったりファンの稼働時間が長くなったりしてしまいます。
ノートパソコンの底面や側面に通気口があるので、定期的に柔らかい布やブラシ、エアダスターのスプレーできれいにしましょう。
ノートパソコンをシャットダウンしたとしても、電源プラグが付いたままだと待機電力が発生してしまいます。待機電力自体の消費電力は小さいですが、長時間だとまとまった電気料金がかかってしまうことがあります。事実、家庭の年間消費電力量のうち5.1%は、待機電力です。待機電力の細かい内訳を見てみると、パソコンが占める割合は4%程度です。
パソコンを長時間使わない場合は、コンセントから電源プラグを抜きましょう。
※参考:関東電気保安協会.「家庭の省エネ情報」.https://www.kdh.or.jp/safe/energy_saving/saving_knowledge/stand_by.html ,(2025-03-13).
節電対策として、電力の変換効率の高いアダプターや電源ユニットを使うのも有効です。電源ユニットとはコンセントから供給される交流電流をパソコンが使えるよう、直流電流に効率良く変換して各部品に届けるパーツです。電力変換時に発生するロスが少ないので、電気料金の節約につながります。
電源ユニットを選ぶ際は、電源容量をパソコンの消費電力の2倍以上確保したり、「80PLUS®認証」のある製品を選んだりするのがおすすめです。80PLUS®認証とは、電力の変換効率が80%以上ある電源ユニットに付与される認証のことです。
家電は使用するうちに劣化が進みます。ノートパソコンの劣化が進むとCPUやグラフィックボードに負荷がかかりやすくなるので、作業効率が落ちるだけではなく余計な消費電力がかかりやすいです。
購入費用はかかるものの、節電するなら新しいノートパソコンに買い替えるのもよいでしょう。ノートパソコンの省エネ性能は年々向上しているため、古いパソコンと同じ時間使ったとしても電気料金は安くなる可能性が高いです。
ご家庭の電気使用量やライフスタイルなどに合った電力会社や料金プランに乗り換えるのもおすすめです。例えば、電気使用量が増えるごとに料金が上がる三段階料金制度のプランを契約している場合、電気使用量の多いご家庭は必然的に電気料金が高くなってしまいやすいです。電気使用量が多い方向けの料金プランや特定の時間の電力量料金単価が安いプランに切り替えれば、同じ電気使用量であっても電気料金が安くなる可能性があります。
電力の小売全面自由化以降、多くの企業が電力事業に参入しさまざまな料金プランを提供しています。「いろいろあってどの料金プランを選べばよいのか分からない」という方は、以下の記事を参考に気になる電力会社をピックアップし、問い合わせてみましょう。
▼おすすめの新電力15選! 固定単価プランと市場連動型プランの両方の電力会社をご紹介!
パソコンは大きくノートパソコン・デスクトップパソコン・ゲーミングパソコンの3種類に分類されますが、それぞれ形状や特長、消費電力が異なります。また消費電力もスリープ時・標準時・最大時によって変化するので、どんなときに消費電力が大きくなるのかを理解して、電気料金を削減する工夫をすることが大切です。
電気料金の値上がりによって家計がひっ迫し、ノートパソコンを含めた家電の使用をためらってしまうのであれば、電力会社を見直してみましょう。ご家庭の人数やライフスタイルに合った電力会社や料金プランに切り替えれば、それだけで電気料金を削減できる可能性があります。
複数人がそれぞれのパソコンを家で使っているなど電気使用量が多くなりがちなご家庭は、TERASELでんきがおすすめです。TERASELでんきでは、ライフスタイルに合わせて以下の4つから料金プランを選べます。
TERASELでんきでは、毎月の電気料金に応じて楽天ポイントがもらえる他、契約時に6つの特典の中から好きなものを1つ選ぶこともできます。電気料金の節約をしたい方は、ぜひTERASELでんきをご検討ください。
関連記事
人気の検索キーワード