投稿日:2024/10/01
更新日:2024/09/30
でんきの節目
新居へ引越す際、旧居に取り付けられている「エアコン」を持っていくかどうか悩む方は多いのではないでしょうか。古いエアコンを持っていけば、新居で使うエアコンを購入しなくて済みますが、持っていくエアコンがあまりに古い場合は買い替えを検討したほうが良いこともあります。
特に10年前に購入したエアコンは最新エアコンに比べるとかなり性能が落ちるので、新品への買い替えを考えたほうが良いでしょう。
本記事では10年前のエアコンと最新型のエアコンの電気代・機能の比較や、買い替えるべきか迷ったときにチェックしたい項目、エアコンを選ぶときのポイントについて解説します。
目次
10年前のエアコンは最新のエアコンに比べて省エネ性が低いと言われていますが、具体的にどのくらいの差があるのでしょうか。ここでは一例として、10年前(2014年製)のエアコンと、最新型(2024年製)のエアコンの消費電力から、年間の電気代の目安をまとめました。
なお、年間電気代は消費電力量(期間合計/kWh)×電力料金目安単価(31円/kWh)で計算しています。
モデル | 6畳用 | 8畳用 | 10畳 | 14畳 | 20畳 |
---|---|---|---|---|---|
2014年モデル(富士通ノクリアXシリーズ) | 期間消費電力量:630kWh 型番:AS-Z22D 年間電気代:19,530円 |
期間消費電力量:726kWh 型番:AS-Z25D 年間電気代:22,506円 |
期間消費電力量:825kWh 型番:AS-Z28D 年間電気代:25,575円 |
期間消費電力量:1,145kWh 型番:AS-Z40D2 年間電気代:35,495円 |
期間消費電力量:2,177kWh 型番:AS-Z63D2 年間電気代:67,487円 |
2024年モデル(富士通ノクリアXシリーズ) | 期間消費電力量:603kWh 型番:AS-Z224R 年間電気代:18,693円 |
期間消費電力量:695kWh 型番:AS-Z254R 年間電気代:21,545円 |
期間消費電力量:779kWh 型番:AS-Z284R 年間電気代:24,149円 |
期間消費電力量:1,051kWh 型番:AS-Z404R2 年間電気代:32,581円 |
期間消費電力量:1,922kWh 型番:AS-Z634R2 年間電気代:59,582円 |
年間の差額 | 837円 | 961円 | 1,426円 | 2,914円 | 7,905円 |
上記の表を見ると分かるとおり、同じ畳数のエアコンでも、2014年モデルと2024年モデルでは期間消費電力量および年間電気代に差が出ます。その差は適用畳数が増えるほど大きくなり、6畳用の場合の年間電気代の差は約830円ですが、20畳になると約7,900円にも上ります。
エアコンは基本的に数年にわたって使用するケースが多いので、最新の機種に買い替えた場合、10年前の機種を使い続けるよりも年間の電気代を節約できる可能性が高いです。
もちろん、最新の機種であっても経年劣化による性能低下のリスクはありますが、仮に最新の機種に買い替えて5年間使い続けた場合、古い機種よりも約4,000円~40,000円の電気代の節約が見込めるでしょう。
同じ適用畳数のエアコンであるにもかかわらず、10年前と最新型で消費電力量に差が出るのは、エアコン機能がより充実していることが大きな理由です。
最新型のエアコンにはセンサーや気流制御などが搭載されており、室内の気温を感知して自動で温度を調整したり、部屋の温度ムラを解消したりする機能が備わっています。つまり、室温が設定温度に達したら、パワーを下げて消費電力を抑えてくれるので、以前よりも省エネ運転が可能になっています。
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また、上記で説明した10年前のエアコンの期間消費電力量は、あくまで新品時のものです。10年間にわたってエアコンを使用し続けると、エアコン内部にゴミやホコリが溜まったり、パーツそのものが劣化したりして、エアコンそのものの性能が低下してきます。すると、室温をスムーズに調整できなくなり、余計な電力を消費してしまう原因になります。
先ほど、10年前モデルと最新型の年間電気代は約830円~7,900円と説明しましたが、経年劣化を踏まえると、実際にはより多くの差が発生している可能性があることも念頭に置いておきましょう。
引越しの際、既存のエアコンを持っていくか、新しく買い替えるか迷ったときは、以下のチャートを参考にしてみましょう。
ここではそれぞれのチャートのポイントについて解説します。
エアコンの寿命は、機種や使用頻度、使用環境などによって異なりますが、おおむね10年程度が目安とされています。10年が経過すると、セルフケアできない部分(熱交換器やファンなど)に汚れやホコリが溜まりやすくなる他、各種パーツの劣化が進んでいる可能性大です。
メーカーに依頼して修理してもらうことも可能ですが、複数のパーツを取り替えるとなるとかなりの費用が掛かってしまうため、新品を購入したほうがコストパフォーマンスが良いとされています。
また、エアコンは同じシリーズでもモデルチェンジを繰り返しており、古いモデルは一定の年数が経過すると廃番になるのが一般的です。廃番になった商品は数年経つとパーツの製造も中止になり、修理・交換に対応できなくなるケースも実際見受けられます。。
パーツが廃番になるタイミングはメーカーによって異なりますが、10年経つと製造中止になっている可能性が高く、買い替えせざるを得ない場合があります。
「エアコンを稼働させているのになかなか設定温度まで上がらない」「部屋が暑い、または寒いまま」という場合、冷暖房の効きが悪くなっている可能性があります。
エアコンの効きが悪くなる原因は大きく分けて2つあります。
ゴミやホコリによるフィルターの詰まりは、エアコンから出てくる風量が減少し、部屋が冷えなくなる、または温まらなくなる原因です。エアコンフィルターはご自分で簡単に取り外せる仕様になっているので、掃除機でホコリを吸い取ったり、水洗いしたりしてお手入れすれば風量は改善します。
フィルターを掃除してもエアコンの効きが直らない場合は、熱交換器などその他のパーツに不具合が生じている可能性があります。その場合、パーツの交換が必要になるので、修理よりも買い替えを検討したほうが良いかもしれません。
エアコンを稼働している際、変な音が聞こえる、嫌なニオイがする、水が漏れているなどのトラブルがないかどうか確認してみましょう。
音に関しては正常な動作音と異音の2パターンがあり、キシキシときしむような音や、シューッと空気が抜けるような音に関しては、エアコン内部の動作音や冷却ガスの移動音なので、問題ないケースがほとんどです。
一方、キーンという耳鳴りに近い音がする場合や、キュルキュルと何かが回転している音が聞こえる場合は要注意。前者はコンプレッサーやコンデンサの劣化、後者は室内ファンの回転異常を起こしているおそれがあります。
これらのパーツはエアコンを分解して交換する必要があるため、購入してしばらく経つ場合は修理よりも買い替えを検討したほうが良いでしょう。
また、エアコンの風から嫌なニオイがする場合も注意が必要です。よくあるカビ臭は、放っておくと室内にまでカビ菌が繁殖し、健康に害を及ぼすおそれがあります。カビ臭は分解クリーニングを行うことで解消されることもありますが、パーツにびっしりカビが生えている場合は交換が必要になることもあるため、買い替えを検討したほうが良いかもしれません。
また、エアコンから焦げ臭いニオイがした場合は火災が発生するリスクがあるため、直ちに修理・交換する必要があります。交換するパーツの種類や数によっては多額の修理費が掛かるので、買い替えも考えましょう。
さらに、エアコン吹き出し口や本体などから水が漏れていないかどうかも買い替えのターニングポイントになります。ドレンホースの詰まりやフィルターの汚れであれば清掃によって対処可能ですが、エアコン内部のパーツの不具合や故障が原因の場合は修理・交換が必要なので、修理費用が多額になる場合は新しく購入したほうが良いでしょう。
最新のエアコンはただ省エネ性に優れているだけでなく、多くの優秀な機能が搭載されています。
エアコンは室内の空気を取り込み、内部で暖めるor冷やしてから室内に戻すというはたらきを行っていますが、このとき、エアコンフィルターを通過することで空気中に含まれるゴミやホコリを取り除く仕組みになっています。
当然、エアコンフィルターは時間が経過するとだんだん汚れて目詰まりを起こすようになるため、定期的に清掃を行わなければなりません。
10年前のエアコンは自身でフィルターを取り外し、清掃・洗浄するものがほとんどでしたが、最新のエアコンにはフィルター自動掃除機脳が搭載されており、放っておいても自動でフィルターのゴミ・ホコリを除去してくれます。
除去されたゴミの廃棄は必要ですが、フィルター掃除の手間が省けるぶん、利便性がぐっと向上しています。
最新型のエアコンには、人感センサーや床温度センサーといった各種センサー機能や、AI機能などが搭載されているものが増えてきました。
人感センサーが搭載されていると、エアコンが室内にいる人の位置を把握し、気流制御を行ってくれるので、設定に応じてエアコンの風を人に向けたり、あるいは避けたりすることが可能になります。
また、床温度センサーが搭載されている機種では、床温度の高い場所に向けて冷風を送ったり、床温度が低い場所に温風を送ったりすることができます。そして、この床温度センサーから得たデータを基に、快適な温度と湿度を推測して自動で運転を調節してくれるのがAI機能です。
AIはさらに、エアコンの設定内容をデータとして取り込み、そこに住む人々が快適と感じる状態を学習する仕組みになっており、いちいち手動で設定を変えなくても自動で快適な運転を行ってくれます。
エアコンを新しく買い替える場合、設置する部屋の大きさ(畳数)に応じた性能を持つ製品を購入するのが基本です。畳数に対してエアコンのパワーが大きすぎると無駄な電気代を消費する原因になりますし、逆にパワーが小さすぎると部屋を効率良く暖めたり冷やしたりすることができません。
そのため、エアコンを購入する際はその製品のカタログなどに記載されている畳数の目安や、冷暖房能力(kW)をしっかりチェックし、設置する部屋に適したものを選ぶようにしましょう。
参考までに、経済産業省では冷房能力に対する畳数について以下のように示しています。
冷房能力(kW) | ~2.2 | 2.5 | ~3.6 | ~4.5 | 5.0 | 5.0 | 5.6 | 7.1 | 8.0 | 9.0 | 10.0 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
畳数(畳) | 6 | 8 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 | 23 | 26 | 29 | 32 |
上記は東京の平均的な南向きの木造住宅で、室内設定温度を冷房時27度、暖房時20度に設定していることを条件としたものです。例えば8畳の部屋にエアコンを設置するのなら、冷房能力が2.5kWの製品を選ぶのが一般的です。
ただ、上記はあくまでごく標準的な住宅の目安であり、実際の冷暖房効率は部屋のレイアウトや向きなどによって異なります。
具体的には、直射日光が差し込む部屋や、間仕切りなどがない開放的な間取りの部屋にエアコンを設置した場合、標準的な部屋よりも冷暖房効率が落ちてしまうため、8畳の部屋に8畳用のエアコンを設置するとパワー不足を感じてしまう可能性があります。
以上のことから、上記の数値はあくまで参考として考え、実際にエアコンを買い替える際は部屋の条件を考慮に入れながら製品を選択することが大切です。
エアコンは、同じメーカー、同じシリーズのなかでも性能によって複数のグレードに分かれています。グレードの名称や数はメーカーやシリーズによって異なりますが、一般的な区分は、ハイグレードモデル・ミドルモデル・スタンダードモデルの3つです。
このうち、スタンダードモデルは標準機種に該当するものですが、必要最低限の機能しか付いていない、パワーや省エネ性が低いといったデメリットがあります。そのぶん本体価格はリーズナブルですが、省エネ性が低いと電気代が掛かってしまうため、長く利用する場合、あまりコストパフォーマンスが良いとは言えません。
一方、ワンランク上のグレードであるミドルモデルは、パワー・省エネ性ともにスタンダードモデルを上回ります。ただ、これはあくまで相対的な話で、単体で見た場合、高性能とは言い切れないところがネックです。
機能に関しては機種によりますが、各種センサーや自動清掃機能などは搭載されていないことが多く、日常で不便を感じることもあります。
以上の点から、これからエアコンを買い替えるなら、上位機種であるハイグレードモデルを選ぶのがおすすめです。
ハイグレードモデルはハイスペックモデルとも呼ばれるとおり、パワー・省エネ性ともに優れており、かつ便利な機能が複数搭載されています。そのぶん価格は高めですが、各種センサーやAI機能によって省エネ性が向上しており、電気代を節約することができます。
近年は燃料価格の高騰や猛暑などの影響でエアコンの年間電気代が割高になっている傾向にあるため、エアコンを長く使うのなら多少初期費用が高くなっても、省エネ性に優れたハイグレードモデルを購入したほうが良いでしょう。
加えて、ハイグレードモデルなら下位グレードより快適性や利便性にも優れているので、高い満足度を期待できるのも大きなメリットです。
10年前のエアコンは最新のエアコンに比べて元々のスペックが低い上、経年劣化の影響も受けます。
古いエアコンを使い続けていると冷暖房効率が落ちたり、無駄な電気代が掛かったりする原因となるので、今使っているエアコンが10年を経過していたら最新型エアコンへの買い替えをおすすめします。
より電気代を節約したい場合は、エアコンの買い替えと合わせて、現在契約している電力会社の見直しも行ってみましょう。
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