セントラルヒーティングとは?特徴やメリット・デメリットを紹介

投稿日:2025/09/24

更新日:2025/09/24

でんきの豆知識

冬の寒さが厳しい日は、暖房をつけてもなかなか部屋が暖まらず、過ごしにくさや不便さを感じている方も多いのではないでしょうか。

暖房効率が高いエアコンに買い替えるのも良いですが、部屋を均一に暖められるセントラルヒーティングの導入も選択肢の1つです。セントラルヒーティングとは欧米の寒冷地などで利用されている暖房システムで、空気の乾燥を防ぎながら快適に部屋を暖められるメリットがあります。

メリット
  • 温度差が少なくなる
  • 空気が乾燥しにくい
  • 耐久性が高い
  • 火災のリスクがない
  • 大きな音が出ない
  • 二酸化炭素が発生しない
デメリット
  • 初期費用が高い
  • ランニングコストがかかる
  • 暖まるまでに時間がかかる
  • 冷房機能がない

セントラルヒーティングとは?

セントラルヒーティングとは、1つの熱源からパイプを経由して温水や温風を送り、建物全体を温める暖房システムです。

「central heating」は日本語で中央暖房を意味しており、主に寒冷地で利用されています。
まずは基本的な特徴や種類を確認しましょう。

セントラルヒーティングの特徴

セントラルヒーティングは、ボイラーで発生した温水や温風を循環パイプを通じて各部屋のパネルヒーターへ送る暖房システムです。温水や温風は、電気やガス、灯油、石油などから作られています。

セントラルヒーティングの特徴

温水や温風がパイプを伝ってパネルヒーターに送られると、そこからふく射熱が発生し、自然対流と組み合わさって各部屋に届き、建物全体を温めます

ふく射熱とは、熱から放出される赤外線によって、空気を介さずに物体を温める熱のことです。火に近づいたときに暖かいと感じたり、クールスポットに行って涼しく感じたりするのも、ふく射熱が関係しているためです。

セントラルヒーティングは欧米の寒冷地でよく使用されていますが、日本でも北海道など冬の寒さが厳しい地域で導入が進んでいます。

セントラルヒーティングの種類

セントラルヒーティングの種類は、温水式と温風式の2つあります。

温水式

温水式は、ボイラーで温めたお湯を循環パイプで各部屋のパネルヒーターに送って部屋を暖める方式です。温水を使って部屋を暖めるため熱損失(熱が外部に逃げ出すこと)が少なく、住宅から大規模な建物まで幅広く導入されています。

ただし、気密性の高いパイプを用意しなければならないため、初期費用が高額になりやすい点がデメリットです。

温風式

温風式は、ファンヒーターで作り出した温風を各部屋のパネルヒーターへ送り込む方式です。

パイプの気密性の高さを重視する必要はありませんが、元が空気であるため熱損失が大きい点は課題となっています。そのため、現在は温水式が主流となっており、温風式が設置されている建物は少ない傾向です。

セントラルヒーティングを活用する6つのメリット

セントラルヒーティングは、建物全体を効率的に暖められるだけでなく、耐久性の高さや快適性でも多くのメリットがあります。

セントラルヒーティングを活用する6つのメリット

主なメリットを把握すれば、導入を検討する際の判断材料になり、生活スタイルに合った暖房器具を選びやすくなります。

温度差が少なくなる

セントラルヒーティングは、部屋間の温度差を抑えやすい暖房システムです。エアコンの暖房の場合、設置している部屋はすぐに暖まりますが、廊下や階段、そのほかの部屋は風をうまく送らなければなかなか暖まりません。

一方、セントラルヒーティングは各部屋にパネルヒーターを設置するため、家全体を均一に暖めやすいのが特徴です。部屋間の温度差が少なくなれば、廊下や階段などでも寒さを感じにくくなり、快適に過ごせるでしょう。

また、急激な温度変化はヒートショックのリスクを高める原因となります。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が不安定になり、心筋梗塞や不整脈などの重大な病気を引き起こす現象です。家全体を均一に暖めるセントラルヒーティングは、ヒートショック防止策になります。

空気が乾燥しにくい

エアコンの暖房使用時によく起こる空気の乾燥を防げるのも主な利点です。エアコンの暖房で室温が上がると、空気が蓄えられる水分量の上限が大きくなり、相対湿度が下がります。相対湿度が低下すると、肌や喉が乾燥しやすくなるのです。

セントラルヒーティングは、パネルヒーターから放出されるふく射熱で部屋を暖めるので、肌や喉が乾燥しにくく、過ごしやすい室内環境を整えることが可能です。

また、エアコンの風はほこりやウイルスなどが舞いやすいため、人によっては咳やくしゃみなどのアレルギー性鼻炎の症状が出る可能性があります。セントラルヒーティングは、パネルヒーターからのふく射熱で暖めるため、風が発生せずほこりやウイルスの飛散を抑えられます。

耐久性が高い

エアコンなどの暖房器具と比べて耐久性が高い点もメリットです。

セントラルヒーティングは、熱を作るボイラー部分と各部屋に熱を届ける部分が分かれているため、万が一不具合があってもその箇所だけを修理・交換できます。エアコンのように本体を買い替える必要が少ないため、結果的に長く使い続けられる暖房システムです。

ただし、メンテナンスが完全に不要なわけではありません。セントラルヒーティングのボイラーの寿命は約10年、配管内部の不凍液は約3年~5年といわれています。 不凍液は配管の凍結を守る役割を果たしており、定期的に点検・交換しなければ配管が劣化する可能性があります。

長く快適に使用するためにも、不凍液は3年~5年のスパンで交換、ボイラーは1年に1回点検してもらうと良いでしょう。

火災のリスクがない

セントラルヒーティングは、火災のリスクがありません。

具体的には、ボイラーで発生した温水を各部屋のパネルヒーターに送る方式のため、可燃物に引火して火災になるといったリスクを避けられます。

また、石油ストーブやガスファンヒーターなどと比べると、セントラルヒーティングは設備への接触によるやけどの危険性が低いです。表面温度が高くなりにくく、触ってもやけどしにくいためです。

小さな子どもや高齢者、ペットがおり、火を使用しない暖房器具を使用したいご家庭なども、セントラルヒーティングが適している場合があります。

大きな音が出ない

運転時の騒音が少ない点もセントラルヒーティングを使用するメリットです。

エアコンにも静音モードはありますが、ファンを回して温風を送る仕組みのため、稼働音や風切り音が多少なりとも発生します。就寝中や集中したいとき、リラックスしたいときは、わずかな音でも気になる場合があるでしょう。

エアコンのように稼働音や風切り音がしないため、快適な環境を整えることが可能です。就寝中や読書、在宅ワークなど静かな環境で過ごしたい方にとって、魅力的な選択肢になるでしょう。

二酸化炭素が発生しない

セントラルヒーティングは、運転中に二酸化炭素が発生しません。

石油ストーブなど燃料を燃やして部屋を暖めるものは、使用時に二酸化炭素が発生するため、定期的な換気が必要です。換気をしなかった場合、二酸化炭素の濃度が上がって頭痛や眠気、注意力散漫などの症状が出る可能性があります。

また、濃度上昇による体調不良だけでなく、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクも高まります。2019年から2023年の一酸化炭素中毒事故の発生件数は29件となっており、うち6件は暖房器具によるものです。

セントラルヒーティングは、このようなリスクを抑えながら空気環境を清浄に保つことが可能です。

(参考:東京消防庁『住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!』)

セントラルヒーティングを活用する4つのデメリット

セントラルヒーティングを活用する4つのデメリッ

セントラルヒーティングを設置すると、空気の乾燥を防止できたり火災リスクを減らせたりと、多くのメリットを得られます。

一方で、セントラルヒーティングは初期費用やランニングコストが高くなりやすい点や、暖房効率の面で注意が必要です。導入を検討する際は、デメリットを踏まえた上で、期待する費用対効果が得られるか見極めましょう。

初期費用が高い

セントラルヒーティングは大がかりな工事が発生するため、ほかの暖房器具に比べて初期費用が高額になります。ボイラーやパネルヒーターの購入費用に加え、設置工事費用もかかり、相場は100万円~150万円といわれています。

ただし、ランニングコストを含めた総費用は、自宅の断熱性能や居住地域の寒さなどによって変わる点に注意しましょう。場合によってはエアコンよりコストを抑えられるケースもありますが、初期費用を回収するまでにかかる年数は、一概に「何年」とは言えません。

また、セントラルヒーティングは24時間つけたまま稼働することが推奨されているため、経年劣化で部分修理が必要になる場合があります。メンテナンス費用は年間1万円~2万円が目安ですが、急なトラブルが生じれば別途追加費用がかかります。

ランニングコストがかかる

初期費用だけでなく、ランニングコストも考慮しなければなりません。24時間つけたまま稼働することが基本なので、エネルギー消費量が増えてコストが高くなります。

ランニングコストの目安は、年間30万円が相場です。北海道電力のシミュレーション結果によると、ヒートポンプ温水暖房・エコキュート・IHクッキングヒーターの3設備を含んだ年間の電気料金は、27万1,424円となっています。

実際のコストは稼働時間や台数によるため一概には言えませんが、稼働時間が長いことで電気料金は高くなりやすいでしょう。

(参考:北海道電力『ほくでんのスマート電化』)

暖まるまでに時間がかかる

セントラルヒーティングは部屋全体をじんわり暖める仕組みのため、スイッチを入れてからすぐに暖かくなるわけではありません。ボイラーで温めた温水が循環パイプを通って各部屋のパネルヒーターに届き、ふく射熱で室温が上がっていくため、暖かさを感じるまでに時間がかかります。

そのため、短時間だけ暖房を使いたいときやすぐに部屋を暖めたい場合は、不便さを感じる可能性があります。特に、石油ストーブを使用している場合は、セントラルヒーティングの立ち上がりの遅さが目立って感じるかもしれません。速暖性を重視している方は、導入すべきかどうかを慎重に判断しましょう。

冷房機能がない

セントラルヒーティングには、冷房機能が備わっていません。エアコンのように1台で冷暖房を切り替えられないため、夏場は別で冷房機器を用意する必要があります。

冷房システムがないと不快感を感じるだけでなく、熱中症のリスクも高まるため注意しましょう。北海道のような寒冷地でも、30℃ 以上の真夏日になることがあります。夏場を快適に過ごすためにも、エアコンやシーリングファンなどと併用して活用しましょう。

なお、冷房機器との併用が前提となるため、年間を通して電気料金が高くなる可能性があります。
導入時は、冷房に必要な機器の購入費や設置費、夏場の電気料金なども含めて総合的に試算しましょう。

(参考:札幌管区気象台『2025年8月10日の北海道の最高気温高いほうから』

セントラルヒーティングをうまく活用する2つのポイント

セントラルヒーティングを単に設置するだけでは、十分な効果を発揮できない場合があります。設定温度や設置位置を工夫すると、暖房効率を高めつつ、余分なエネルギー消費を抑えられる可能性があります。

「設置したいけれど光熱費が高くなるのではないか」と不安な方は、以下でうまく活用する2つのポイントを確認してみてください。

設定温度を低くする

電気料金を節約するには、セントラルヒーティングの設定温度を低めにしましょう。設定温度を高めにすると、室温を維持するために必要なエネルギー量が増え、電気・ガス料金が高くなる可能性があります。

セントラルヒーティングは部屋間の温度差が少ないため、エアコンの暖房のように温度設定を高くしなくても、十分な暖かさを感じやすい特徴があります。適切な温度は20℃~22℃ とされていますが、部屋ごとに温度を大きく変えないようにしましょう。温度差が大きくなると、空気の対流によってほこりが舞いやすくなります。

また、構造上時間をかけて部屋を暖めるため、オン・オフを繰り返すよりも24時間稼働 させたまま使用する方が電気料金の節約につながります。

設置位置を工夫する

パネルヒーターはできるだけ窓際に設置しましょう。窓際に設置すると、コールドドラフト現象が発生にしくくなります。

コールドドラフト現象とは、窓で冷やされた空気が暖房によって床に降りてくる現象のことです。この現象が起こると、体の冷えにつながるだけでなく、暖房効率の低下によって部屋の室温が下がりやすくなります。設定温度を上げると消費電力が多くなるため、光熱費が高くなる場合もあるでしょう。

窓際にパネルヒーターを設置すれば、窓からの冷気を効果的に遮断でき、コールドドラフト現象が発生しにくくなります。光熱費の削減につながるため、設置位置にはこだわりましょう。

よくある質問

セントラルヒーティングの電気代はいくらですか?

ランニングコストの目安は、年間30万円が相場です。(1ヶ月にすると2.5万円)

北海道電力のシミュレーション結果によると、ヒートポンプ温水暖房・エコキュート・IHクッキングヒーターの3設備を含んだ年間の電気料金は、27万1,424円となっています。

セントラルヒーティングのメリット・デメリットは?

セントラルヒーティングのメリットは6つ、デメリットは4つあります。

メリット
  • 温度差が少なくなる
  • 空気が乾燥しにくい
  • 耐久性が高い
  • 火災のリスクがない
  • 大きな音が出ない
  • 二酸化炭素が発生しない
デメリット
  • 初期費用が高い
  • ランニングコストがかかる
  • 暖まるまでに時間がかかる
  • 冷房機能がない

ただし、導入するタイプや内容によっては変わることもあるので、あくまで参考としてください。

セントラルヒーティングの寿命はどのくらいですか?

セントラルヒーティングのボイラーの寿命は約10年、配管内部の不凍液は約3年~5年といわれています。

長く快適に使用するためにも、不凍液は3年~5年のスパンで交換、ボイラーは1年に1回点検すると良いでしょう。

セントラルヒーティングを導入するなら電気料金の見直しを!

セントラルヒーティングは、暮らしの質や快適性が上がるだけでなく、火災や一酸化炭素中毒のリスクを軽減できるメリットがあります。しかし、ランニングコストが高くなりやすいため、電気料金を見直して光熱費を抑える工夫が欠かせません。

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