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FIT(固定価格買取制度)とは?内容やメリット・デメリットを解説

投稿日:2022/11/16

更新日:2022/11/16

でんきの豆知識




日本はエネルギー消費量が多い割にエネルギー自給率が低く、原料を諸外国からの輸入に頼っています。しかし、輸入に頼ってばかりでは世界情勢の影響を受けるため、安定したエネルギーの確保ができません。

また、化石燃料は限られており、いつか底をつくことも予測されます。そこで近年注目を集めているのが、発電時のCO2(二酸化炭素)の排出量が少ない再生可能エネルギーです。

再生可能エネルギーは、事業者や一般家庭で発電できる種類もあり、発電したエネルギーは国が定めた価格で電力会社が一定期間買い取る制度が定められています。

本記事では再生可能エネルギーに関連するFIT制度について、メリットやデメリット、FIP制度との違いを解説します。

この記事を書いた人

野中 康平マーケティング室 室長
大学在学中、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで
伊藤忠エネクスに入社。
入社後は一貫して電力ビジネスに携わり、電力ビジネス領域における大規模システム構築を実現。
電力のスペシャリストとして電力ビジネスの拡大に尽力している。

FIT(固定価格買取制度)とは?図解で分かりやすく解説

出典:経済産業省資源エネルギー庁「固定価格買取制度」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

FIT制度とは「Feed-inTariff」(フィードインタリフ)の頭文字の略称で、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」と訳される言葉です。電気事業者(電力会社)は、再生可能エネルギーによって発電された電気を一定期間にわたり固定価格で買い取ることが義務付けられており、再生可能エネルギーの買取価格は法律で定められます。

この制度はドイツでは1991年より、スペインでは1992年より導入されました。日本では2012年7月1日に「電気の調達に関する特別措置法(FIT法)」が施行されたのに合わせて制度化されています。

なお、電力会社が電気を買い取る際にかかる費用の一部は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として月々の電力料金に加算されており、電気を使う全ての人が支払う仕組みです。

FIT(固定価格買取制度)の目的


FIT制度が施行された背景としては大きく二つあります。

一つ目

一つ目は、建設や維持など設備にかかる費用面が高く導入に踏み切りにくい点。事実、2012年度の国内の電源別発電電力量構成比を見てみると、火力発電が最も多く89.5%を占めています。それに対して再生可能エネルギーの割合は8.5%。

2010年までは原子力発電が全体の25〜30%弱を占めていましたが、地震が多い日本では原発の稼働は難しい面もあり、2011年の東日本大震災を機に縮小傾向になりました。

その後FIT制度の効果もあってか、2021年度の調査では火力発電が78.9%で、再生可能エネルギーの割合はなんと16.2%にまで上りました。(※1)

二つ目

二つ目の理由として、日本のエネルギー自給率が低い点が挙げられます。火力発電は石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料を必要とします。日本は世界の中でも有数のエネルギー消費国でありながら、2019年のエネルギー自給率は12.1%に過ぎませんでした。(※2)

日本は化石燃料の多くを海外からの輸入に頼っていますが化石燃料には限りがあるため、いずれは枯渇するでしょう。また、化石燃料は発電時にCO2を排出することから地球環境的にも問題視されています。

一方、再生可能エネルギーは化石燃料よりCO2の排出量を大幅に抑えられるため、導入をより促進する動きが必要でした。

以上の理由から、FIT制度は設備建設や維持にかかる費用をサポート、再生可能エネルギーによる発電量の増加を促し、長期的なエネルギー自給率の向上を目的に策定されました。

(※1)参照:経済産業省 資源エネルギー庁「電力調査統計」https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/

(※2)参照:経済産業省 資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2021年度版「エネルギーの今を知る10の質問」https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2021/001/

対象となる5つの再生可能エネルギー


FIT制度で買取の対象となるのは、5つの再生可能エネルギーです。それぞれのエネルギーについて、特徴を紹介します。

【太陽光発電】

太陽光発電は太陽の光エネルギーを太陽電池によって電気に変換する発電方法です。設置する地域に制限がなく、設置場所も屋根や壁などの未利用スペースを利用して設置できます。送電設備のない山岳部などにも設置が可能です。ただし、天候によっては十分な発電量が得られないことが課題となります。

【風力発電】

風力発電は風のエネルギーを電気に変える発電方法です。大規模に発電できれば火力発電並みにコストを抑えられます。風さえあれば夜間も発電できますが、陸上に風車を設置する場合は広い土地が必要です。風況の良い地域が北海道や東北など一部地域に限られていることも課題の一つといえます。

【水力発電】

水力発電は高い場所に貯めた水を低い場所に落とす際のエネルギーで水車を回し、水車につながる発電機を回転させて電気を生み出す発電方法です。長期間安定して運用できますが、中小規模のタイプはコストが高いことが課題です。

【地熱発電】

地熱発電は地中の深いところから取り出した蒸気でタービンを回して発電する方法です。火山国日本には豊富な資源があります。出力が安定しているため大規模開発が可能で、24時間稼働が可能です。しかし、開発期間が長期にわたり、開発費用も高いことが課題とされます。

【バイオマス発電】

バイオマス発電は動植物から生まれた生物資源を燃焼したりガス化したりして発電します。廃棄物を利用する場合、廃棄物の減少や再利用になり資源の有効活用が可能です。一方で、資源の安定供給や資源の収集・運搬・管理コストを抑えることが課題とされます。

FIT電気と再生可能エネルギーの違い


再生可能エネルギーとは温室効果ガスを排出せず、国内で生産できる低炭素エネルギーのことです。再生可能エネルギーは上で説明した5種類以外に太陽熱利用、雪氷熱利用、温度差熱利用、地中熱利用などさまざまな種類があります。

一方、FIT電気は再生可能エネルギーによって発電された電気の中から固定価格買取制度によって電力会社が買い取った電気のことです。再生可能エネルギーによって発電されても、固定価格買取制度によって買い取られた電気でなければFIT電気ではありません。

FIT電気は再エネ賦課金を利用して購入されており、再生可能エネルギーは電力会社の企業努力で賄われているという違いがあります。

FITとFIPの制度の違い

FIT制度の導入により、再生可能エネルギーは急速に拡大しました。一方、電気の利用者が負担する賦課金の金額は、制度の導入当初と比べて大幅に拡大しています。

今後、さらに再生可能エネルギーの導入を促進するためには、賦課金を減らしていくことが必要です。

また、FIT制度は買取金額が固定されているため、利用者のニーズや競争などの影響を受けて電力の価格が決まる仕組みとは異なり、需要と供給のバランスを意識する必要もありませんでした。

しかし、再生可能エネルギーの導入を促進するためには、他の電源と同じように電力市場の需要と供給の関係を踏まえて発電していくことも大切です。

実際、太陽光発電の急激な拡大により昼間の時間帯に電力供給が需要を上回るなど、需要と供給の不一致が見られるようになりました。そこでFIT制度の弱点を補い、さらなる再生可能エネルギーの普及を目的としたFIPの導入が2020年6月に決まり、2022年4月より実施されています。

FIPは「Feed-in Premium」(フィードインプレミアム)の頭文字の略称です。再生可能エネルギーによる電力が卸市場で売買されたとき、売電収入に対して補助額(プレミアム)を上乗せします。FIT制度はどの時間帯に発電しても価格は同じで、全額買い取り保証があることが特長です。

一方、FIP制度は基準価格と1カ月ごとに見直される参照価格との差額をプレミアムとして電力会社が受け取れます。売電価格は電力市場の影響を受けますが、プレミアムがあることで収益はFITと同程度になる仕組みです。

FIT制度では需要と供給の不一致(インバランス)の調整は求められませんでしたが、FIP制度では電力会社は発電量の計画値を作成し、それに則って発電を行います。計画値と実績値が一致しない場合はペナルティが課せられるのも特徴です。

FIT(固定価格買取制度)のメリット


FIT制度を導入すると、私たちにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

日本のエネルギー自給率向上に有効

FIT制度の導入によって、エネルギー自給率を上げられます。エネルギー自給率が上がれば、国際情勢の影響に左右されることなく電力の安定供給が期待できるでしょう。また、エネルギー自給率が上がり余剰電力ができれば、他国にエネルギーを輸出することも可能です。

CO2を抑えられる再生可能エネルギーの割合を増やせば地球温暖化の抑止にもつながり、環境保護にも一役買えるでしょう。

電気を安く使うことができる

FIT電気は大手の電力会社より新電力会社に多く導入されている傾向があります。電気料金も大手電力会社より新電力会社の方が安い傾向です。私たち消費者は、新電力会社と積極的に契約すれば電気代の節約にもつながるでしょう。

また、太陽光発電の設備を導入すれば発電したエネルギーを自家消費でき、余った電力で売電収入を得ることも可能です。

FIT(固定価格買取制度)のデメリット


FIT制度が導入されたことで電気料金に再エネ賦課金が上乗せされ、電気を利用する全ての人が負担することになりました。

また、FIT制度の固定買取期間は10年と定められており、固定買取期間が終了すると売電単価は以前と比べて大幅に減少する点は、売電する事業者または個人にとってはデメリットです。

ただし、FIT制度の売電期間終了後(卒FIT後)は売電する事業者を自由に選んで契約できるようになるため、その際に売電単価の高い電力会社を選ぶことも可能です。

まとめ

FITやFIPの制度について知識を深めると、日本のエネルギー問題について理解が深まります。地球温暖化を防ぐためにCO2の排出を削減することは、今や誰もが考慮しなければならない問題です。

太陽光発電の設備を導入することで環境負荷を減らせる他、電気代の節約になるなどメリットも多いため、興味のある人は導入を検討してはいかがでしょうか。

参考URL
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/fip.html
https://www.egmkt.co.jp/column/corporation/20200803_7.html
https://www.asahi.com/sdgs/article/14589436
https://selectra.jp/environment/guides/renewable-energy/fit
https://enechange.jp/articles/feed-in-tariff
https://www.goo.ne.jp/green/business/word/energy/S00518.html
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html
https://denki.remixpoint.co.jp/column/?p=266
https://enechange.jp/articles/fit-electric-fit-method
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html
https://earthene.com/media/155#point-3
https://www.solar-partners.jp/feed-in-tariff/79307.html

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